科学

胎児の指吸いと利き手の関係

デイヴィッド・ウォルマン著「「左利き」は天才?―利き手をめぐる脳と進化の謎」からの引用。 北アイルランド、ベルファストのクイーンズ大学の研究者グループから唖然とするような報告がもたらされた。彼らは、妊娠10〜12週の胎児に見られる指吸いと腕の…

左右の対称が崩れるしくみは(3)

デイヴィッド・ウォルマン著「「左利き」は天才?―利き手をめぐる脳と進化の謎」からの引用。 おもしろいのは、この回転歯車のような繊毛が左右の別を決めていると仮定すると、カルタゲナー症候群と呼ばれる人間の遺伝疾患がうまく説明できることだ。この病気…

左右の対称が崩れるしくみは(2)

デイヴィッド・ウォルマン著「「左利き」は天才?―利き手をめぐる脳と進化の謎」からの引用。 廣川たちは、この繊毛のついた細胞をマウスから採取して液体に入れ、細胞のそばに蛍光ビーズを落としてみた。川の流れが渦巻いているところに、発泡スチロールのか…

左右の対称が崩れるしくみは(1)

デイヴィッド・ウォルマン著「「左利き」は天才?―利き手をめぐる脳と進化の謎」からの引用。 ロンドン大学のクリス・マクマナスに、左利きの聖地はどこだと思うか尋ねたとき、まっ先にくれた答えはブローカがいたパリだった。もう一つ選ぶならとあげてくれた…

強い片手利きと両手使い

デイヴィッド・ウォルマン著「「「左利き」は天才?―利き手をめぐる脳と進化の謎」からの引用。 全人口の10〜12パーセントが左利きという前提でここまで話をしておきながら今になってこんなことを言い出すのはずるいかもしれない。だが、この数字は間違っ…

チンパンジーが4300年前に作った打製石器を発見

読売新聞の記事。 チンパンジーが4300年前に作った打製石器を発見【ヒューストン(米テキサス州)=増満浩志】チンパンジーが4300年前に作った打製石器をアフリカのコートジボワールで発見したと、カナダと米英独の共同研究チームが12日、発表した…

脳に左右差があるのは人間だけでない?

デイヴィッド・ウォルマン著「「左利き」は天才?―利き手をめぐる脳と進化の謎 」からの引用。 チンパンジーたちは今度はメロンをむしゃむしゃ食べている。サルたちを眺めながら、ホプキンズの発見がなぜこれほど常識を揺さぶるのかを考えてみた。一つには、…

ロバート・セインバーグの仮説(2)

デイヴィッド・ウォルマン著「「左利き」は天才?―利き手をめぐる脳と進化の謎 」からの引用。 セインバーグは自宅でスペアリブとビールの夕食を楽しみながら、自分の研究からはもう一つじつに興味深い結論が引き出せる、と教えてくれた。ぼくたちが当然のよ…

ロバート・セインバーグの仮説(1)

デイヴィッド・ウォルマン著「「左利き」は天才?―利き手をめぐる脳と進化の謎 」からの引用。 この協調運動の件をもっと理解するために、ペンシルベニア州立大学の運動神経科学研究所にロバート・セインバーグを訪ねた。(中略) 「協調運動とは、生体力学的…

歩いて地球を1周したら何日かかる?

「新しい高校物理の教科書―現代人のための高校理科 (ブルーバックス)」(ブルーバックス)から引用。 地球を1周する距離はどれほどだろう。地球の周囲はほぼ4万㎞である。なぜそんなにきりがいいのかというと、1mという長さは、あとで述べるように、もと…

世界一簡単な超臨界流体の作り方

佐古猛・岡島いづみ著「超臨界流体のはなし (SCIENCE AND TECHNOLOGY)」からの引用。 ターゲットは超臨界二酸化炭素です(ただしこの方法では中の様子が見えないので、超臨界流体を作ったという実感が湧きにくいことをご承知ください。また高圧ですので、高…

空気中の水分

久保田昌治・西本右子共著「これでわかる水の基礎知識」からの引用。 地球大気(空気)は窒素や酸素のほかいくつかの気体分子が混じり合った混合気体である。そのうち水蒸気は高さ、場所、時刻によって著しく変動するため、一般に空気は「乾燥空気」と水蒸気…

界面の水

久保田昌治・西本右子共著「これでわかる水の基礎知識」からの引用。 固体表面と水の相互作用は「ぬれ」の現象として興味が持たれてきた。親水性の表面では少なくとも3種の異なる状態の水が存在している。第1層は親水性の表面に水素結合した水であり、−1…

水分子は気相では1分子ずつバラバラに存在するか

久保田昌治・西本右子共著「これでわかる水の基礎知識」からの引用。 水はいうまでもなくわれわれにとってもっとも身近な液体であり、水なしには存在すらできない。しかしわれわれは、厳密な意味では純粋な水を作りだし、取り出して調べることができなかった…

わかったこと、わからないこと

谷口義明著「暗黒宇宙の謎―宇宙をあやつる暗黒の正体とは (ブルーバックス)」からの引用。 WMAP(2001年6月に背景放射を探査することを目的に打ち上げられた衛生探査機)は、宇宙論に関して金字塔ともいえる観測結果を出した。宇宙年齢、ハッブル定…

ビッグバン宇宙論(2)

谷口義明著「暗黒宇宙の謎―宇宙をあやつる暗黒の正体とは (ブルーバックス)」からの引用。 宇宙年齢38万年の頃 しかし、宇宙の膨張と共に温度は冷え、プラズマの時代も終わりを告げる。宇宙の温度が3000K程度になると、陽子と電子は再結合し、中性水素原子…

ビッグバン宇宙論(1)

谷口義明著「暗黒宇宙の謎―宇宙をあやつる暗黒の正体とは (ブルーバックス)」からの引用。 宇宙の始まり 宇宙の始まりは「不確実な物理の時代」と呼ばれる宇宙初期の時代である。そこは量子宇宙論の世界である。たとえば、宇宙最初の10-43秒は、重力ですら…

星の寿命

谷口義明著「暗黒宇宙の謎―宇宙をあやつる暗黒の正体とは (ブルーバックス)」からの引用。 生まれた星のダークさを決めていたものは、星の質量であった。重ければ明るく、軽ければ暗い。また、星の質量が0.08M(Mは太陽の質量)未満であれば、星になら…

褐色矮星より軽いガス球

谷口義明著「暗黒宇宙の謎―宇宙をあやつる暗黒の正体とは (ブルーバックス)」からの引用。 褐色矮星の質量の下限値は0.013M(Mは太陽の質量)であった。これより質量が軽いと、重水素でも核融合が起きない。つまり、褐色矮星よりダークなガス球として…

星の分類

谷口義明著「暗黒宇宙の謎―宇宙をあやつる暗黒の正体とは (ブルーバックス)」からの引用。 星:0.08M<m<100M。ただし、宇宙の最初にできた星々の質量は100Mを越えると考えられている。(ここで、Mは太陽の質量、mは星の質量を表す) 褐色…

ダークの種類

谷口義明著「暗黒宇宙の謎―宇宙をあやつる暗黒の正体とは (ブルーバックス)」からの引用。 ダークをまとめると次のようになる。 暗くて観測しにくいダーク 暗い星や惑星 星の残骸 モノクロマティックなダーク 可視光帯のでの闇 こらはガンマ線、X線、紫外線…

肌の色

ジェームス・D・ワトソン、アンドリュー・ベリー著「DNA (下)―ゲノム解読から遺伝病、人類の進化まで (ブルーバックス)」からの抜粋。 共通の祖先から分かれて以降の時間が短いため、人種集団に見られる違いの大半は自然選択によるものと考えられる。そんな…

骨が体に備わった理由

遠藤秀紀著「人体 失敗の進化史 (光文社新書)」(光文社新書)からの抜粋。 脊椎動物では、初めから骨らしい骨が備わっていたわけではない。骨はどのようにして身体に備わったのだろうか。 太古の魚にとって、生きていくのに必要なミネラルをどう保持するか…

可動遺伝要素

ジェームス・D・ワトソン、アンドリュー・ベリー著「DNA (下)―ゲノム解読から遺伝病、人類の進化まで (ブルーバックス)」からの抜粋。 DNAを増やす原因としていっそう大きいのが、自らを複製してゲノム中の二カ所以上に入り込む遺伝子配列があることだ。…

遺伝子数

ジェームス・D・ワトソン、アンドリュー・ベリー著「DNA (下)―ゲノム解読から遺伝病、人類の進化まで (ブルーバックス)」からの抜粋。 現在、ヒトの遺伝子数は約3万5千個と推定されているが、これでもまだ人間が遺伝的に実際よりも複雑であるかのような印…

EPAの失敗

ジェームス・D・ワトソン、アンドリュー・ベリー著「DNA (上)―二重らせんの発見からヒトゲノム計画まで (ブルーバックス)」からの抜粋。 スターリンクは、ヨーロッパの多国籍企業アドベンティス社が開発したBtトウモロコシである。スターリンクのBtタン…

Bt

ジェームス・D・ワトソン、アンドリュー・ベリー著「DNA (上)―二重らせんの発見からヒトゲノム計画まで (ブルーバックス)」からの抜粋。 Btは、1901年、日本の蚕が壊滅的被害を受けたときに発見され、1911年、ドイツのチューリゲン州でスジコナマ…

何千年も昔から遺伝子組み換え食物を食べていたという事実

ジェームス・D・ワトソン、アンドリュー・ベリー著「DNA (上)―二重らせんの発見からヒトゲノム計画まで (ブルーバックス)」からの抜粋。 遺伝子組み換え食品に関する論争が渦巻いている今日、私たちは何千年も昔から遺伝子改良をした食物を食べていたという…

アグロバクテリウム

ジェームス・D・ワトソン、アンドリュー・ベリー著「DNA (上)―二重らせんの発見からヒトゲノム計画まで (ブルーバックス)」からの抜粋。 根頭癌腫病は、植物の茎のあたりに見苦しいごつごつした瘤ができる病気である。この病気を起こすのは、アグロバクテリ…

沈黙の春

ジェームス・D・ワトソン、アンドリュー・ベリー著「DNA (上)―二重らせんの発見からヒトゲノム計画まで (ブルーバックス)」からの抜粋。 1962年10月、レイチェル・カーソンの「沈黙の春」が「ニューヨーカー」誌に連載され、一大センセーションを巻き…