世界一簡単な超臨界流体の作り方

 佐古猛・岡島いづみ著「超臨界流体のはなし (SCIENCE AND TECHNOLOGY)」からの引用。

 ターゲットは超臨界二酸化炭素です(ただしこの方法では中の様子が見えないので、超臨界流体を作ったという実感が湧きにくいことをご承知ください。また高圧ですので、高圧に不慣れな人は決してこの実験をしないで下さい)。
 用意するものは長さ15㎝、外径10㎜、肉厚2㎜のステンレス製パイプ1本、パイプの両端のふたをするためのキャップユニオンと呼ばれる金具2個、ドライアイス6.6g、50℃のお湯1リットルです。レシピは以下の通り。パイプの一方の端をキャップユニオンでふたをしてから、ドライアイスの塊を入れて、もう一方のパイプの端を二つ目のキャップユニオンでしっかりと閉じます。そうしてから50℃のお湯に10分程浸けておくと、パイプの中のドライアイスは全て気体の二酸化炭素になってしまいます。この二酸化炭素はただの気体ではなくて、実は超臨界に酸化炭素なのです。温度はお湯と同じ50℃ですが、6.6gのドライアイスが8.5㎝3のパイプの中で全て気体となっているので圧力は20Mpa(約200気圧)とかなり高圧です。二酸化炭素が超臨界流体になるための条件の31.1℃以上、7.4Mpa以上を満たした立派な超臨界二酸化炭素なのです。

 思いの外簡単に超臨界二酸化炭素ができてしまうものらしい。超臨界状態というと高温高圧というイメージが強くて、実現するのは難しいと思っていた。この方法だとほんとに簡単にできてしまう。