2007-01-01から1年間の記事一覧

物語の役割

同題の新書を小川洋子さんが出されている。その中で、次のような文面がある。 たとえば、非常に受け入れがたい困難な現実にぶつかったとき、人間はほとんど無意識のうちに自分の心の形に合うようにその現実をいろいろ変形させ、どうにかしてその現実を受け入…

ちょっとしたネタ切れ

昨日は、一日雨で、一昨日のゴルフの疲れもあり、いつものように歩くのがおっくうになり、部屋でテレビを一日見ていた。ほんとうなら、こういう時間を使ってブログの内容を整理してみるとか、今後のネタの仕入れを行うとかすればいいのだろうけれど、根が無…

完全数の性質

再びサイモン・シン著「フェルマーの最終定理」からの引用。 ピュタゴラスは、完全数はその約数の和に等しいだけでなく、ほかにもいくつかのエレガントな性質を持つことに気づいた。一例を挙げれば、完全数はつねに連続した自然数の和として表すことができる…

サイモン・シン「[asin:4102159711:title]」の完全数のくだり

小川洋子氏は、「ある本の完全数のくだりを読んでいると、28という数字が出てきて、江夏の背番号じゃない」と思ったとエッセイ集に書いている。「博士の愛した数式 (新潮文庫)」の参考図書にもあげられていたサイモン・シンの「フェルマーの最終定理 (新潮…

「博士の愛した数式」が描いている年

小川洋子著「博士の愛した数式」を読み終えてしまった。久しぶりに読んだ小説だったが、非常に面白かった。小川洋子氏の小説を読むのはこれが初めて。小説の構成のうまさには脱帽した。小説を読んでいると、残りのページ数が気になるときがある。読むのがう…

80分しか持たない記憶

小川洋子著「博士の愛した数式 (新潮文庫)」の中で、数学者である博士の記憶は、80分しか持たない。80分を過ぎると、80分前のことをすっかり忘れてしまうのだ。家政婦のわたしが、買い物に出て、80分直ぐ手から戻ると、博士は、初対面の人に会ったと…

静寂のはなれ

「博士の愛した数式 (新潮文庫)」の続き。家政婦のわたしと息子のルートは、80分しか記憶が維持できない博士を阪神タイガース戦に連れ出すことに成功する。博士の記憶は、交通事故で記憶を失う前のままだから、当然阪神タイガースの選手もその時代の選手で留…

原子分子程度大きさの世界と巨視的世界の違い

J.v.ノイマン著「量子力学の数学的基礎」からの引用。 原子分子程度の大きさの領域におけるあらゆる事象が量子の“不連続的”な法則によって規制されていることが、疑う余地のないまで明らかに確証された。 さらに、原理的に重要な意義をもつものは、理論…

1から10までの合計を計算する方法

「博士の愛した数式 (新潮文庫)」の中で、博士がルート(家政婦の息子)に1から10の合計を計算する方法を宿題として出す場面がある。ルートは、単純に1から10までの数を足して、55と回答する。 すると、博士は、その方法と違ったやり方で導く方法を…

友愛数

今、友達に借りた小川洋子著「博士の愛した数式 (新潮文庫)」を読んでいる。交通事故で、80分しか記憶がもたない初老の数学博士と家政婦、そしてその家政婦の息子と物語。 まだ、読み始めたばかりなので、詳細は説明できないが、いままで読んだところまで…

道徳的に許容できることに関する基準の着実な移行

リチャード・ドーキンス著「神は妄想である―宗教との決別」からの引用。 アメリカのイラク侵攻は、市民のあいだに犠牲者を出したがゆえに広汎な非難を受けているが、しかしそうした犠牲者の数値は、第二次世界大戦において同様の状況で得られたであろう数字…

ナノテクカーボンでカテキンとタンニンを選択分離

独立行政法人人物質・材料研究機構のプレリリースから。 ナノテクカーボンでカテキンとタンニンを選択分離:操作は混ぜて分けるだけ! 「カーボンナノケージ」を用いるこの方法で、お茶の成分からタンニンのみを選択的に除き、貧血気味の人にやさしいお茶を…

クリアビューゴルフ&ホテル水没

台風9号の爪痕。クリアビューゴルフ&ホテルが水没した。メンバーになってから大がかりな水没は初めて。クリアビューゴルフ&ホテルは、利根川沿いにある河川敷ゴルフ場。他の河川敷よりは水没しにくいと言われていたが、さすがに、今回はダメだったようだ。…

草加で殺人事件

草加で殺人事件が一昨日あった。 朝日新聞 路上、刺され78歳男性死亡 埼玉・草加2007年09月05日00時33分 4日午後7時20分ごろ、「人を刺した」と埼玉県草加市の公衆電話から110番通報があった。草加署員が同市草加2丁目の公衆電話に向かったところ…

台風9号、関東へ接近

台風9号が関東に接近している。7日の深夜に東海か関東に上陸しそうだ。気象庁の6時50分の発表をみると、中心気圧は、965hPa、中心付近の最大風速は35m/s、25m以上の暴風域は、全域110km、15m以上の暴風域は、北東側390km、南西側310km、北北西に15m/sで進…

近似

近似をwikipediaでひくと、 近似(きんじ、approximation)とは、数学や物理学において、複雑な対象の解析を容易にするため、細部を無視して、対象を単純化する行為。 とある。 また、大辞林によると、 (1)非常に似ていること。 (2)ある数量に非常に近いこと…

夏休みの宿題

apjさんのブログで、夏休みの宿題を代行する記事が掲載されていた。教育的議論は先生方にお願いするとして、自分の子どもの頃の夏休みに対するイメージを書いてみたい。 夏休みといえば、長いというのがイメージとしてあった。私が小学生だった昭和40年代前…

物理の基本的な前提

リサ・ランドール著「ワープする宇宙―5次元時空の謎を解く」からの引用。 ほとんどの物理の基本的な前提は、素粒子が物質の基本的な構成要素になっているとくことだ。外側の層をはがしていけば、最終的にかならず素粒子に突き当たる。素粒子物理学者は、これ…

粒子でもありながら波でもあるもの

リサ・ランドール著「ワープする宇宙―5次元時空の謎を解く」からの引用。 粒子でありながら波でもあるものの存在に困惑する人もいるかもしれないが、たしかにそれはもっともだ。ド・ブロイが最初にこの波動説を提唱したときにも、それがどういう意味かをわか…

なぜ、地球が止まっていて、天体が動いているように見えるのか?

リチャード・ドーキンス「神は妄想である―宗教との決別」からの引用。 私たちが進化した限られた世界では、小さな物体のほうが大きな物体よりも動いている可能性が大きく、大きいほうは動く際の背景と見られる。世界が回転するにつれて、近くにあるために大…

宗教は、内集団/外集団の対立を巡る敵意と確執を物語るラベルである

リチャード・ドーキンス「神は妄想である―宗教との決別」からの引用。 宗教は疑いの余地なく、不和を生みだす力であり、これが宗教に対して向けられる主要な非難の一つである。しかし、宗教集団あるいは宗派間の戦争や反目が、神学的な意見の不一致について…

明日の皆既月食

明日の8月28日に皆既月食がある。日本全国で見られる皆既月食は、実に6年半ぶりとのこと。皆既月食の詳しい内容は、ここで見ることができる。 ちなみに、東京では、かけ始めた月が、上ってきて18時52分頃から全てが隠れた状態になり、約1時間ほどその状態が…

聖書の本質

リチャード・ドーキンス「神は妄想である―宗教との決別」からの引用。この本の中でドーキンスは、アメリカ人医師で進化人類学者のジョン・ハートゥングの論文を引用している。そのエッセンスとも言うべき部分が、下記の部分だ。 聖書は、内集団特有の道徳意…

宗教は心理的性向の多岐にわたる、いくつもの副産物

リチャード・ドーキンス「神は妄想である―宗教との決別」からの引用。 自然淘汰は、親や部族の長老のいうことは何であれ信じるという傾向をもつ脳をつくりあげる。そのような、「疑いを持たず服従する」という行動には、生存上の価値がある。ガが月によって…

ガがロウソクの炎に飛び込むのは、普段は役に立つコンパスが誤作動した副産物である。

リチャード・ドーキンス「神は妄想である―宗教との決別」からの引用。 ガはロウソクの炎に飛び込むが、それは偶然の事故のようには見えない。彼らはわざわざ寄り道して炎に身を捧げるのだ。しかし、それに「焼身自殺行為」という名前を付けた私たち自身が、…

生物体は「負エントロピー」を食べて生きている

E.シュレーディンガー著「生命とは何か―物理的にみた生細胞 (岩波新書 青版)」からの要約。 生物体というものが不思議に見えるのは、急速に崩壊してもはや自分の力では動けない「平衡」の状態になることを免れていることだ。 生きている生物体はどのように…

非周期性の固体

E.シュレーディンガー著「生命とは何か―物理的にみた生細胞 (岩波新書 青版)」からの要約。 小さな分子1個がだんだん大きな結合体を作り上げてゆくのに二つの方法がある。一つは同じ構造を三つの方向に何度も何度も繰り返してゆく方法である。結晶が成長し…

数学的な説明の挿入

E.シュレーディンガー著「生命とは何か―物理的にみた生細胞 (岩波新書 青版)」からの要約。 期待時間をtとし、tは比 [tex:{\tau}e^{\frac{W}{KT}}"/> の関係にある。τはないし程度のある小さな定数である。 ところで、この特定の指数関数は偶然現れた特…

分子の安定度は温度に依存する

E.シュレーディンガー著「生命とは何か―物理的にみた生細胞 (岩波新書 青版)」からの要約。 原子の系が最低のエネルギー状態(絶対温度の零度)の分子を次に高い状態すなわち準位に引き上げるためには、一定量のエネルギーを与えることが必要であり、その…

分子

E.シュレーディンガー著「生命とは何か―物理的にみた生細胞 (岩波新書 青版)」からの要約。 原子の種類と数とが与えられたとき、その系の不連続な一組の状態の中に、最低のエネルギー準位というものが必ずあるとは限らないが、ある場合もあるだろう。それ…