エネルギーの形態

 (財)エネルギーセンター編「エネルギー管理士試験講座」Ⅰからの要約。

エネルギーの形態

力学的エネルギー
機械的エネルギーと呼ばれることもある。速度vで運動している質量mの物体が持つ運動エネルギー\frac{1}{2}mv~2、重力の加速度がgの場所で、地上からの高さがhの位置に置かれた質量mの物体がもつ位置エネルギー(あるいはポテンシャル・エネルギー)mghは、力学的エネルギーの主要なものである。
電磁気的エネルギー
電荷によって作り出される電界や、磁荷が作り出す磁界に起因するエネルギーをここでは総称して電磁気的エネルギーという。電界の強さをE、媒質の誘電率を\varepsilonとするとき、電界が単位体積当たり保有するエネルギーは\frac{1}{2}{\varepsilon}E^2である。同様に磁界の強さをH、媒質の透磁率を\muとすると、この磁界が保有するエネルギーは\frac{1}{2}{\mu}H^2である。
光エネルギー
光は電磁波の一種である。一般的には紫外線と可視光線、そして赤外線を併せ、波長が1nmから1mmの範囲にある電磁波を光と呼んでいる。
化学的エネルギー
物質を構成する原子や分子の結合のエネルギーの総和を化学的エネルギーという。化学反応によって物質の構成が変化すると、結合のエネルギーが放出されたり吸収されたりする。前者を発熱反応、後者を吸熱反応という。発熱反応の最も代表的な物は燃焼反応であり、燃料(石炭・石油・天然ガスなど)が酸素と反応して別の物質(二酸化炭素や水蒸気など)に変化する過程で大量に熱を発生させる。これは、燃料がもっていた化学的エネルギーの一部が熱エネルギーに変換されたことによるものである。
熱エネルギー
温度の異なるふたつの物体を接触させると、高温の物体から低温の物体へとエネルギーが移動する。この移動中のエネルギーを「熱」という。このようにして物体に与えられた熱は、その物体の内部エネルギーを増加させる。微視的には、物質を構成する原子や分子がもつ力学的エネルギーの総和が内部エネルギーであると考えることができる。物体の内部エネルギーの増加と熱移動とは密接に関連するから、熱と内部エネルギーは混同されやすい。しかし、内部エネルギーの増加は熱の移動によるばかりではなく、物質の流入や外部から与えられる仕事によっても生じることを銘記しておくことは重要である。
核エネルギー
アインシュタインによって、質量とエネルギーの間に次のような等価関係があることが明らかにされた。

E=mc^2
この等式でEはエネルギー、mは物質の質量、cは真空中の光速(2.99792458×10^8m/s)である。
原子核を例にとれば、原子核を構成する核子(陽子及び中性子)の質量の総和と原子核の質量とは等しくない。前者から後者を差し引いた値を質量欠損といい、その値を上の公式によってエネルギー換算したものは、原子核の結合エネルギーに等しいことがわかっている。
現在実用されている発電用原子炉では、すべてウランのように原子番号の大きな物質の原子が、中性子を吸収して核分裂する際に生じる質量の消滅によってエネルギーが作り出されている。
 これに対して、質量数の小さい原子の原子核同士を融合させたときに生じる質量欠損を利用するエネルギー変換法が核融合である。

 今すぐ、エネルギー管理士を目指すというわけではないのだが、省エネを理解していくのに非常に良い参考書となるので、今後このシリーズを使用したまとめを掲載していきたいと思っている。