社会

遺伝学史上最大の汚点

ジェームス・D・ワトソン、アンドリュー・ベリー著「DNA (上)―二重らせんの発見からヒトゲノム計画まで (ブルーバックス)」からの抜粋。 ヒトラーの「我が闘争」は、似非科学にもとづいた人種差別主義者の大言壮語であるれかえっている。それは、ドイツ民族…

断種法と科学的人種差別

ジェームス・D・ワトソン、アンドリュー・ベリー著「DNA (上)―二重らせんの発見からヒトゲノム計画まで (ブルーバックス)」からの抜粋。 全般として見れば、不適切な人間が子どもを作らないようにするという、消極的優生学が盛んになったことのほうが悲惨な…

消極的優生学

ジェームス・D・ワトソン、アンドリュー・ベリー著「DNA (上)―二重らせんの発見からヒトゲノム計画まで (ブルーバックス)」上からの抜粋。 ゴールトンが、遺伝的に優れた人々に子どもをもつように奨励する「積極的優生学」を説いたのに対し、アメリカの優生…

優生学の誕生

ジェームス・D・ワトソン、アンドリュー・ベリー著「DNA (上)―二重らせんの発見からヒトゲノム計画まで (ブルーバックス)」上からの抜粋。 ダーウィンは、遺伝的変異は、彼自身の言う“生存競争”において有利になる個体が生じることを意味すると指摘した。(…

自由市場思想と規制緩和

マークブキャナン著「複雑な世界、単純な法則 ネットワーク科学の最前線」からの引用。 1980年から90年にかけてアメリカを支配していたのは、自由市場思想と政府による規制の撤廃だった。こうした政策を擁護したのは、多くの場合、そうすれば富が貧者…

ものの値段

製造業に属していると、どうしても値段というものは原価からはじき出されるものと考えてしまう。その商品を製造するには、これだけ資材費がかかり、プラス人件費がかかってくる。そして、販売費がその上にのってくる。どうしてもそういう見方をしてしまう。…

これからの本屋さん

談話室たけくまでの竹熊氏と「インターネットの法と慣習」の著者白田氏との対談がおもしろかった。 白田 意識の高いアーティストどころか、一般の個人ですら、自分で複製・流通ができるテクノロジーが整ってしまいました。また、自分の作品の権利は自分で管…

統治客体意識からの脱却

丸田隆著「裁判員制度 (平凡社新書)」(平凡社新書)からの引用。 私たちは私的生活に忙しく、地域政治はもちろんのこと、国政においても、ほとんど直接関わりを持たない。ましていわんや、裁判所などはできれば関わりを避けたい場所であるかもしれない。そ…

いかにして法を成立させうる政治的回路をネットワークに実装するか

白田秀彰著「インターネットの法と慣習 かなり奇妙な法学入門 [ソフトバンク新書]」からの引用。 私は「ネットワークには独自の法あるいは固有の価値がありうるはずだ」という主張を揚げている。ところが実際には、そうした独自の法や価値は、なかなか成長し…

国際的な合意は、議会のコントロールが効いているわけでない

白田秀彰著「インターネットの法と慣習 かなり奇妙な法学入門 [ソフトバンク新書]」からの引用。 議会において政策Aと政策Bが対立している。しかも、それは法律レベルではなく憲法レベルの対立を含んでいるとする。政策Aにも政策Bにも法的・憲法的な根拠…

近代法の原則から外れている「P2P海賊行為防止法案」

白田秀彰著「インターネットの法と慣習 かなり奇妙な法学入門 [ソフトバンク新書]」からの引用。 現在のところ、たとえその目的が正当なものであっても、クラッキング(他人のコンピュータへの侵入や妨害行為)はされている。アメリカでは、「コンピュータ詐…

太陽中心モデルが広まっていった理由

サイモン・シン著「ビックバン宇宙論」からの引用。17世紀にガリレオが「天文対話」によって太陽中心モデル(太陽を中心に地球など惑星が動いている説)を多くの一般市民にひろげた後、18世紀になって、太陽中心モデルは天文学者たちに広まっていった。 太陽…

真実でない常識

ここのところ、白田秀彰著「インターネットの法と慣習 かなり奇妙な法学入門 [ソフトバンク新書]」から引用をつづけている。本来なら本書の確論であるインターネットを活用するためにはどういった法整備が必要かといった議論に入るべきなのだが、ここで、ち…

判例主義・アメリカの場合

白田秀彰著「インターネットの法と慣習 かなり奇妙な法学入門 [ソフトバンク新書]」からの引用。 アメリカでは、イギリスでの「法の支配」の原則がそのまま残った。法もイギリスの法=コモン・ローをほとんどそのまま受け継いだ(ルイジアナ州はフランスから…

イギリスの法と慣習

白田秀彰著「インターネットの法と慣習 かなり奇妙な法学入門 [ソフトバンク新書]」からの引用。 イギリスは「法の支配」(rule of law)という言葉で示されるように、王様(行政部&立法部)が法のチェックに従っていたけど、17世紀末の名誉革命のときに…

英米法と大陸法の歴史的背景

白田秀彰著「インターネットの法と慣習 かなり奇妙な法学入門 [ソフトバンク新書]」からの引用。 法律を大きく分けると、英米法と大陸法に分かれる。 英米法の特徴は、判例主義で、議会が作る法律よりも伝統に根ざした裁判所の判断の法が偉いという仕組みに…

法って何だろう?

白田秀彰著「インターネットの法と慣習 かなり奇妙な法学入門 [ソフトバンク新書]」からの引用。 イギリスでは、議会が作る法律を「statute」、裁判所が長い歴史の中で作り上げてきた判例法を「law」と呼んで区別している。本当の意味での「law」は、人間が…

携帯電話:電磁波の影響

読売新聞の記事。「金属の天井や壁のある空間では、携帯電話などの発する電磁波が反射するため、発信源から距離をとっても、必ずしも弱まらない」という内容。 携帯の電磁波、優先席離れても影響変わらず…東北大 「電車内での携帯電話の電源オフは、優先席付…

ためしてガッテン「環境ホルモン」から見えてきたもの

先月放映されたためしてガッテン「環境ホルモン」を見てから、NHKのすべての番組、ニュースも含めてエンターテイメントショーに見えて仕方がない。科学番組のコメンテーターが話している内容も構成されているのだなと思ってしまうし、ニュースで流される…

放射線利用

毎日新聞の「放射線:香辛料の照射「検討を」 原子力委部会が報告書」という記事。 放射線:香辛料の照射「検討を」 原子力委部会が報告書 原子力委員会の食品照射専門部会は13日、殺菌などを目的に香辛料に放射線を照射することの評価・検討を始めるべき…

松永和紀さんの存在

松永和紀さんの最新刊「踊る食品の安全−農薬から見える日本の食卓」を先日購入した。松永さんに関しては、FOOD SCIENCEの「松永和紀のアグリ話」と本を読むぐらいしか接点はないが、専門知識が必要な農薬の話題を一般の我々にわかりやすく解説し…

文法は、耳と口と脳を結びつける仲介者

スティーブン・ピンカー著「言語を生みだす本能」より引用。 人間の思考はさらに複雑で、しかも、人間の口は、単語を一度に一つずつしか発音できない。複雑な思考を順序正しい単度列の形で伝達するために、脳は見事に設計されたルールを駆使する。科学はいま…

すべての言語に共通する句の構造

さて、いつもだとスティーブン・ピンカー著「言語を生みだす本能」から引用と書くところだが、この章は、どうもポイントを一部の引用で示すのが難しい。また、内容を十分理解していない可能性がある。いくつかの部分を引用しながら進めていくことにする。 最…

普遍的な心的言語の可能性

昨日の続き。スティーブン・ピンカー著「言語を生みだす本能」からの引用。 人間は、英語や中国語やアパッチ語で考えているのではない。思考の言語で考えている。思考の言語は、これらすべての言語に多少似ているかもしれない。概念に対応するシンボルがあり…

心的イメージで考える

スティーブン・ピンカー著「言語を生みだす本能」からの引用。心的イメージで考えていることを表したアルバート・アインシュタインの言葉。アインシュタインは、光の束にまたがって時計を振り返ったり、急降下するエレベーターのなかに立ってコインを落とし…

ピジンとクレオール

スティーブン・ピンカー著「言語を生みだす本能」からの引用。言語が生得的であると証明するためには、「言語が普遍的に存在するのは、子どもが現実に言語を再発明するからだ」という考え方が重要だとピンカーは言っている。そして、人間が、ほとんどゼロか…

言語を持たない部族は一つもない

スティーブン・ピンカー著「言語を生みだす本能」からの引用。1930年にニューギニアでオーストラリア出身の山師マイケル・リーイが先住民と遭遇したときの話が引用されている。その先住民は島の中央部の平地部分に長年住んでいて、下界との接触をしてこなか…

読売新聞 編集委員 小出重幸氏へのインタービュー

今月のPVC newsの「視点・有識者に聞く」で読売新聞の編集委員である小出さんへのインタビューが掲載されている。メディア側にいらっしゃる方の中では環境問題に対してバランス感覚を持っている方だと思うので、インタビューで話されているいくつかを…

生命進化や脳のしくみに興味を持っている理由

shokou5さんからトラックバックを頂いた。脳科学専攻の大学院生らしく、自分のようなただのおじさんよりも詳しく言語進化のしくみを調べておられる。これから、言語獲得のしくみを調べていこうと思っている所で、自分よりも詳しく知っている方からのトラック…

生命進化と脳のしくみから見えてくるものは?

「生命進化8つの謎」や「脳のなかの幽霊」などを読んでいると、自分自身が大きな勘違いをしていることに多々気づく。言語の習得は、遺伝であるらしいし、多くの自分の行動は、自分の意志とは別のところで制御されているらしい。 言語の習得が遺伝であるとい…