2006-01-01から1年間の記事一覧

捕鯨問題と漁業

「複雑な世界、単純な法則 ネットワーク科学の最前線」(草思社)の著者であるマーク・ブキャナンは、その著書の中で、日本が捕鯨再開の理由としてあげている「くじらこそが魚の個体数減少の原因だ」という主張に対して、そうではないと主張する。捕鯨が活発…

ものの値段

製造業に属していると、どうしても値段というものは原価からはじき出されるものと考えてしまう。その商品を製造するには、これだけ資材費がかかり、プラス人件費がかかってくる。そして、販売費がその上にのってくる。どうしてもそういう見方をしてしまう。…

WHOの方向転換

読売新聞の新聞記事。WHOがDDTの使用を推進するというもの。 マラリア制圧へ「DDT」使用拡大訴え…世界保健機関 【ワシントン=増満浩志】世界保健機関(WHO)は15日、ワシントンで記者会見を開き、「マラリア制圧のため、DDTの屋内噴霧を進…

植物由来プラスチックの研究開発動向

文部科学省の科学技術動向センターが発行している科学技術動向8月号に「植物由来プラスチックの研究開発動向−自動車ナノ複合ポリ乳酸の視点から」が掲載されている。 この中で、今後の課題として、1.低コスト製造プロセスの開発と2.国際的な食料需給へ…

市民はなぜリスクを理解できないのか

安井至先生のホームページ「市民のための環境学ガイド」で有害物質に関してのコラムが掲載されている。その中で、「環境フォーラム」で使ったPPTファイルがあり、その真ん中当たりに「市民はなぜリスクが理解できないか」の理由が記されてある。 理由は5…

これからの本屋さん

談話室たけくまでの竹熊氏と「インターネットの法と慣習」の著者白田氏との対談がおもしろかった。 白田 意識の高いアーティストどころか、一般の個人ですら、自分で複製・流通ができるテクノロジーが整ってしまいました。また、自分の作品の権利は自分で管…

電力線通信解禁?

総務省の電波監理審議会が、電気のコンセントを利用した高速電力通信を解禁する答申を出したことに、短波放送関連企業、天文学者、アマチュア無線家が反発しているという。この通信方法では、短波に近い電磁波が発生するらしい。 コンセント利用の電力線ネッ…

アメリカのセルロース性エタノール戦略

アメリカのセルロース性エタノール戦略マップが2006年7月に公表されている。これは、米国エネルギー省(DOE)が発表した「セルロース性エタノールの利用に向けての障壁の解決」という報告書の中で述べられている。詳細は、ここで見られる。 ブッシュ…

ピュタゴラス派

ロビン・アリアンロッド著「世界を数式で想像できれば―アインシュタインが憧れた人々」からの引用。 この本自体は、数理物理学者ジェームズ・クラーク・マクスウェルを描いた伝記的な本なのだが、節々に数学や科学の歴史がちりばめられている。サイモン・シ…

遅延時間がある理由

V.S.ラマチャンドラン著「脳のなかの幽霊、ふたたび 見えてきた心のしくみ」からの引用。 探検家のデイヴィット・リヴィングストンがライオンに襲われたときの有名な話があります。彼は自分の腕が食いちぎられたの見ても、痛みはおろか恐怖さえまったく…

自己

V.S.ラマチャンドラン著「脳のなかの幽霊、ふたたび 見えてきた心のしくみ」からの引用。 「自己」とはいったいどんなものなのでしょうか?自己を定義づける特徴は5つの部分からなっています。第1は、連続性。私たちの体験全体を、過去・現在・未来を…

自由意志と遅延時間

V.S.ラマチャンドラン著「脳のなかの幽霊、ふたたび 見えてきた心のしくみ」からの引用。 数十年前にアメリカの神経外科医ベンジャミン・リベットとドイツの生理学者ハンス・コルンフーバーが、ボランティアを対象に自由意志の行使に関する実験をおこな…

ひさびさの環境ネタふたつ

食品安全情報ブログで紹介されている記事2点を紹介する。 今日食べられている魚の約半分は養殖 本日発表された「世界の水産養殖業2006」によれば、1980年には人の消費する量のわずか9%が養殖であったが、今や43%になった。養殖魚は毎年4億5500万トン、630億…

統語の階層構造

V.S.ラマチャンドラン著「脳のなかの幽霊、ふたたび 見えてきた心のしくみ」からの引用。 言語の起源についてラマチャンドランは、次のようではないかと推測している。 視覚的外形と聴覚表象とのあいだに共感覚的なクロスモーダルの抽象化が先に進行して…

芸術家や小説家の脳

V.S.ラマチャンドラン著「脳のなかの幽霊、ふたたび 見えてきた心のしくみ」からの引用。 共感覚に関して、昔から知られ、無視されてきた奇妙な事実があります。芸術家や詩人や小説家−言いかえれば変わったタイプの人たち−に、7倍もよく見られるという…

笑い

V.S.ラマチャンドラン著「脳のなかの幽霊、ふたたび 見えてきた心のしくみ」からの引用。 私は、痛覚失象徴と呼ばれる、奇怪なシンドロームに出会ったことがあります。驚いたことにこの患者は、痛覚刺激に対して「痛い!」と反応せずに、声をあげて笑う…

痛み

V.S.ラマチャンドラン著「脳のなかの幽霊、ふたたび 見えてきた心のしくみ」からの引用。 痛みは、ふつうは一種類だと思われていますが、少なくとも二つのタイプがあって、別々の機能のために進化してきたのではないかと考えています。急性の痛みは、た…

カプグラ症候群

V.S.ラマチャンドラン著「脳のなかの幽霊、ふたたび 見えてきた心のしくみ」からの引用。 相貎失認はよく知られていますが、これとは別に、カプグラ症候群という非常に稀なシンドロームもあります。私が少し前に出会った患者は、交通事故で頭にけがをし…

ホイルの貢献(2)

19世紀中頃、宇宙論研究者たちは、水素とヘリウム以外の原子がどうやって生成されたのかをうまく説明できなかった。ビッグバン・モデルでは、水素とヘリウムはビッグバンが生じたときに生成したとしている。そして、その生成量は、今の水素とヘリウムの宇宙…

宇宙論の簡単な経緯とホイルの貢献(1)

1920年代、ルメートルがビッグバン・モデル(宇宙創造の瞬間があり、宇宙は進化している)を提唱し、宇宙は永遠で静的なものだと考えられていた従来のモデルに対抗する宇宙モデルが誕生した。アインシュタインは、当初宇宙は永遠で静的なものと信じ、一…

再結合と光の行方

サイモン・シン著「ビッグバン宇宙論 (下)」からの引用。 アルファーとハーマンは、初期宇宙の歴史を明らかにする作業を続けながら、時間とともに宇宙が膨張するにつれて、光の海とプラズマはどうなっただろうかと考えた。そして二人が気づいたのは、宇宙が…

誕生1時間後の宇宙

サイモン・シン著「ビッグバン宇宙論 (下)」からの引用。 一般に、物質には4つの状態がある。第1の、もっとも温度の低いときの状態は個体で、固体中の原子や分子はお互いにしっかりと結合している。第2の、少し温度の高いときの状態は液体で、液体中の原…

水素とヘリウムの比率

サイモン・シン著「ビッグバン宇宙論 (下)」からの引用。 一ヶ月が過ぎるごとに、アルファーは、ビッグバンから数分後のヘリウム形成が正しくモデル化できていることに自信を深めていった。彼がいっそう確信を強めたのは、自分の計算が現実世界とよく合って…

ルメートルの宇宙とガモフの宇宙

サイモン・シン著「ビッグバン宇宙論 (上)」からの引用。 ガモフの研究について見ていく前に、元素合成に関するルメートルの考えを思い出しておこう。ルメートルの宇宙は、たった1個の非常に重い原初の原子から始まる。原初の原子は、ほかのすべての原子の…

統治客体意識からの脱却

丸田隆著「裁判員制度 (平凡社新書)」(平凡社新書)からの引用。 私たちは私的生活に忙しく、地域政治はもちろんのこと、国政においても、ほとんど直接関わりを持たない。ましていわんや、裁判所などはできれば関わりを避けたい場所であるかもしれない。そ…

太陽で水素がヘリウムに核融合される経路

サイモン・シン著「ビッグバン宇宙論」からの引用。 ベーテは、当時太陽の内部で実現していると考えられていた温度と圧力の条件下では、水素をヘリウムにするには二つの核反応経路があることを突き止めた。ひとつの経路は、普通の水素(1個の陽子)が、より…

原子核物理学の重要な成果

サイモン・シン著「ビッグバン宇宙論 (上)」からの引用。 本章で天文学や宇宙論の用語が出てこなくなってからずいぶん経つが、原子と原子核の物理学の大躍進を紹介しておくことは非常に重要なのである。というのもこの進展が、ビッグバン・モデルの検証にあ…

放射能の背後にあるメカニズム

サイモン・シン著「ビッグバン宇宙論 (下)」からの引用。 原子の構造と、それを構成する粒子に関する確かな知識を武器として、物理学者たちはついに、ピエール・キュリーとマリー・キュリーが研究した放射能の根本原因を説明できるようになった。原子核はす…

原子のサイズ

サイモン・シン著「ビッグバン宇宙論 (上)」からの引用。 原子のサイズは、陽子、中性子、電子の個数によって変わるが、一般には、直径が10億分の1メートルよりも小さい程度である。しかしラザフォードの散乱実験は、原子核の直径はそれよりもさらに10…

放射能の発見

サイモン・シン著「ビッグバン宇宙論 (上)」からの引用。 原子を理解しようという試みが始まったのは、化学者と物理学者が「放射能」という性質に興味をもったときのことだった。放射能が発見されたのは、1896年である。その後、ウランなど重い原子のい…