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<span style="font-weight:bold;">水質汚濁とその対策</span>

 改訂2版「eco検定テキスト」(東京商工会議所編著)からの引用。

 水質汚濁とは、河川・湖沼・海洋などの水質が、自然現象や人間活動、つまり工場、事業場からの排水や家庭からの生活排水によって汚染されることをいいます。水質汚濁は、直接または間接的に人間の健康に被害を及ぼし、生活環境を損なってしまいます。
 もともと、自然現象には自浄作用がありますから、河川・湖沼・海洋などの自然水系には一定レベルまでであれば汚染・汚濁を回復することができます。しかし、工場や事業所等からの排水や、家庭からの生活排水などが大量に流入すると、自浄作用の限界を超えてしまい、水が汚れたままになってしまい、汚濁が進んでしまいます。
 人間活動による主な水質悪化の原因としては、次のものがあげられます。

(1)有害物質によるもの
 鉱山や工場・事業場からの排出水に含まれるカドミウム有機水銀、鉛、六価クロム等の重金属、また産業廃棄物から浸透する有害物質など
(2)有機物によるもの
 家庭からの台所排水、トイレ排水などの生活排水や農業、畜産、食品関連事業場から排出される有機物、窒素、リンなど

 有機物は水中の微生物により分解されますが、有機物の量が多いと水中の酸素量が減少し、腐敗してヘドロとなって沈殿します。また、有機物や硝酸塩、リン酸塩などの栄養塩類が増えると、富栄養化してプランクトンや藻類が大量発生し、赤潮アオコの原因となります。p.46

 海の自浄作用の力は案外強力です。船が座礁したときに油などが流出といった事故を何度も耳にしたことがあると思いますが、だいたい3年ぐらい経つと元の通りとはいえませんが、だいぶ回復している場合があります。
 それに比べ、河川や湖沼の場合は、自浄作用の限界を越してしまうと復旧するのに時間もお金もかかってしまいます。特に水の出入りの少ない沼では、なおさらです。
 重金属とは、鉄以上の比重を持つ金属の総称ですが、ここに書かれているように、環境問題では、カドミウム有機水銀メチル水銀)、鉛、六価クロム等を指すことが多いです。これらの重金属が公害病のもとになったケースが多いため、法律などでこういう表現がよく用いられます。全部の重金属を覚える必要はありません。ここに記載されている重金属だけ覚えておきましょう。
 リンや窒素などの栄養素が過剰に集まってしまうと水質汚濁の原因となってしまいます。畜産や食品工場から排出される排水にこれらのものが多量に含まれていると河川や湖沼の水質汚濁につながります。
 1970年代ごろまでは、合成洗剤に洗浄力を高めるため、リンを加えた洗剤が販売されていました。しかし、このリンが原因で河川の富栄養化の問題が発生していました。私たちの生活排水が河川を汚染していたのです。そのため、洗剤は水質汚濁の象徴のようにメディアに取り扱われ、窮地に立たされます。
 問題解決のため、洗剤メーカーなどが、鋭意開発を行った結果、1980年代に無リン洗剤が開発され、洗剤のリンによる汚染は、なくなっていきました。
 このように、環境問題では、適度の量であれば問題にならなかったものが、度が過ぎると問題になるケースがたびたびおきます。

 水質汚濁防止法などの規制強化により、高度経済成長期のように日本国中が注目する社会問題となるような水質汚濁による産業公害の被害は報告されなくなりました。その一方、家庭からの生活排水による河川・湖沼の水質汚濁の改善や、有機物質による地下水汚染の改善が課題となっています。水質汚濁防止法では、人の健康被害を起こすおそれのある有害物質26種類を健康項目として排出基準を設けて規制してます。また、水質汚染の度合いを測定評価するために、BOD、CODなどの12項目を生活環境項目として水質基準を設定し規制しています。
 規制による対策も重要ですが、抜本的に水質を改善していくためには、健全な水循環を取り戻すことが重要です。海洋で蒸発した水蒸気が雨や雪となって大地や森林に降り注ぎ、土壌に浸透し、地下水や地表水として河川・湖沼・海洋に流れ込みます。水はこのように自然界を循環し、自然環境や水そのものを浄化し、生物の生存に欠かせない物質を運んでくれます。そして、この水循環の中で重要な役割を果たしてくれているのが森林です。森林土壌の生態系が水質そのものを浄化し、有機物などの栄養分を運んで河川・湖沼・海洋の生態系を支えています。
 ”森は海の恋人”という言葉があります。海の生態系を支えている森が豊かな生態系を形成し、森と海をつなぐ川がその役割を果たしてくれてこそ、人間や自然生物にとって大切な河川・湖沼・海洋の”美しい水”を取り戻すことができるのです。

 水質汚濁防止法は、1970年12月に公布されています。当初は、公共用水域への排水規制が目的でしたが、その後の改正で地下水も規制対象となっています。最終改正は2005年4月です。
 BODとCODという言葉がでてきます。BODは、Biochemical Oxygen Demand 、CODは、Chemical Oxygen Demand の略です。前者はバイオケミカルですから、生化学的な指標で、水中の汚物を分解するために、微生物が必要とする酸素の量を表しています。CODは、ケミカルですから、水中の汚物を化学的に酸化し、安定させるのに必要な酸素の量です。どちらも酸素の量ですが、BODは、微生物が必要とする酸素量であり、CODは、化学的に酸化させるのに必要な酸素量です。バイオとケミカルで覚えておけば間違えないと思います。

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