<span style="font-weight:bold;">海・川、土壌、大気が協働して水循環を支える</span>

 改訂2版「eco検定テキスト」(東京商工会議所編著)からの引用。

 川は、わたしたちの生活に重要な水資源を供給してくれます。飲料水や生活用水、農業用水、工業用水、また水力発電など、わたしたちは川とともに発展してきました。文明の発祥地が大河の流域にあることからもわかります。
 また、川は水とともに、上流の森や土中から窒素やリン、カリウムなどの栄養分を運び、河川に豊かな生態系をつくりだします。海まで運ばれた栄養分は、植物プランクトンや海藻を繁茂させ、魚や貝類が生息する海中生態系を育てます。海にたくさんの生物が棲めるのは、川のおかげなのです。
 このように、海と川は、大気・土壌と協働して自然界の水の循環を支え、地球上の生物にとって最適な環境をつくりだしています。

 湖沼や海域などの水域に棲む生物のうち、浮遊生活をおくる生物をプランクトンと呼びます。
 植物プランクトンは、光合成色素をもち、水中の二酸化炭素や窒素、リンなどを吸収して光合成を行っている生物です。
 このほか、海には、海の表層を流れる暖流寒流といったおなじみの海流(図2−6世界の主な海流図)と、表層と深海底にまたがる大きな流れの海洋大循環(図表ー7海洋大循環)があります。この海洋大循環は、北極周辺で海底に沈みこみ、1000年以上かけて世界中の深海底を巡り、再び北極周辺まで戻ってきます。しかし、海洋大循環に関しては、まだその役割が十分にわかっていません。
 地球温暖化問題では、大気温の上昇による海水温のわずかな変化が海洋大循環にどのように影響を及ぼすか、大きな研究テーマになっています。

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