大陸地殻の元素組成

 基礎地球科学(朝倉書店、2002年)によると、大陸地殻の元素組成(元素体積%)は、以下のようになる。

 O 93.8%、 Si 0.2%、 Al 0.6、 Fe 0.5%、 Ca 1.4%、 Mg 0.5、 Na 1.3、 K 1.7%、 その他 0.6%

 私たちの足下にある大陸地殻の元素組成は、重量%では、酸素が約50%、ケイ素が約25%、アルミニウム、鉄、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、そしてカリウムを加えると99%を越えてしまう。これを元素体積%に換算してみると、酸素は90%以上に達して、その隙間にケイ素やその他の元素が存在していることになる。また、私たちが利用している金属資源(銅、鉛、亜鉛、ウラン、銀、金など)は、いずれも地殻内に存在するが、それを合計してもその他の0.6%以下しか含まれていない。これは、ちょっとした驚きだが、宇宙の元素組成(水素とヘリウムで99%以上を占める)を考えるとそんなものかなとも思う。
 そして、これらの元素は均一に分布しているわけではなく、偏って存在している。白金類(プラチナ、パラジウム、ロジウム、ルテニウムオスミウム)じゃ。南アフリカの埋蔵量のみで世界全体の埋蔵量のおよそ90%を占め、この南アフリカにロシアの埋蔵量を加えると約97%を占めてしまう。レアメタルのニッケル、マンガン、クロム及びコバルトも白金類ほど極端ではないものの、偏在性をもっている。ニッケルは、オーストリアが埋蔵量第1位で世界の埋蔵量合計の36%を占めている。上位五カ国(オーストリア、ロシア、キューバ、カナダ、ブラジル)で約70%を占めてしまう。マンガンも埋蔵量第1位がウクライナで約37%を占め、上位5カ国で90%を占めている。クロムは埋蔵量第1位がカザフスタンで約36%を占め、上位3カ国で5割強を占める。コバルトは第1位がコンゴで約50%弱を占め、上位3カ国で83%を占めている。 そして、日本はほとんど鉱物資源をもっていない。エネルギー資源と同様、鉱物資源確保も我が国にとって、重要であることは間違いない。
 ただ、金属資源は、エネルギー資源と違って、リサイクルが可能だ。例えば、鉄の場合、国内の鉄蓄積量は、12億トンを超えている。それにともなう鉄スクラップの年間発生量は5000万トンを超えるレベルに達している。鉄のリサイクルは比較的進んでいて約90%がリサイクルされている。金属資源が有限であるや偏在性をもっていることを考えると、金属資源の確保は、今後非常に難しくなる可能がある。他の金属資源に関しても、同様のリサイクルシステムが必要になってくるだろう。
金属資源に関しては、(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構のホームページが詳しい。