<span style="font-weight:bold;">酸性雨の現状は</span>

 改訂2版「eco検定テキスト」(東京商工会議所編著)からの引用。

 酸性雨による被害は、欧米などの先進国だけでなく、中国、東南アジアなどの途上国にも広がっています。途上国は、硫黄成分の多く含まれた安価な石炭燃料の依存度が高いため、今後、ますます酸性雨の被害が深刻化するとみられています。
 日本では、環境省の調査(「酸性雨長期モニタリング報告書」2009年3月発表)によれば、2003〜2007年の5年間の地点別平均値は、岐阜県伊自良湖のpH4.51から小笠原のpH4.95の範囲にあり(全平均値はpH4.68)、植物に対して急性被害が懸念されるpH3.0未満の降水は観測されていませんでしたが、依然として、酸性雨が観測されていると報告されています。日本は、各種規制や省エネ技術の進歩などにより、硫黄酸化物、窒素酸化物の排出量は世界でもっとも低い水準にあります。しかし、酸性雨は、原因物質の発生源から数千キロメートルも離れた地域にも影響を及ぼす性質があるため、今後は、アジアなど大陸からの影響が懸念されます。p.66-67

 水素イオン濃度pHは、常識として覚えておきましょう。中性が7です。数が小さいほど酸性が強く、数が多いほどアルカリ性が強くなります。ちなみに14までしか数値はありません。
 もともと、雨は弱酸性であることも覚えておきましょう。
 硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)には、水素が含まれていませんが、硫酸や硝酸には水素が含まれていて、水に容易に溶ける状態になります。したがって、雨に混じって降ってくるのです。
 ところで、今週の日曜日にラジオを聞いていたら、香りの専門家が話していらっしゃって、窒素にはにおいがないが、窒素酸化物(NOx)には臭いがあるとおっしゃっていました。窒素酸化物(NOx)の臭いとは、雷を伴った夕立の後に残るちょっと焦げたような臭いだそうです。これは、雷によって、空気中の窒素が酸化され窒素酸化物(NOx)に変わって地表に落ちてきたものだそうです。ちなみに、窒素酸化物は雨の中には溶けこんでいません。

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