無色透明と白色は同じ:屈折と散乱

 細野秀雄・神谷俊夫共著「透明金属が拓く驚異の世界 不可能に挑むナノテクノロジーの錬金術 (サイエンス・アイ新書)」(ソフトバンククリエイティブ)からの要約。


図 光の屈折と反射
透明の物質に光を入れると、光の速さが小さくなるため、光が曲がる(屈折)。光速が小さくなる程度を表す数値が屈折率で、屈折率が大きいほど光の曲がりは大きく、同時に反射される光の割合(反射率)も大きくなり、きらっと光って見えるようになる。ここに挙げた物質では、ダイヤモンドが最も大きな屈折率を持つ

  • 光の速さが遅くなった割合を屈折率といい、よくnという記号で表す。
  • n = sin α / sin βα:入射角、β:屈折角
  • 図の左のグラフは、水面を望む角度が30度としたとき、水面下の物体がどれだけずれて見えるかを示している。
  • 水の屈折率は1.3、屈折率が大きい物質の代表であるダイヤモンドは2.4。
  • 光がどれだけ反射されるかも屈折率によって決まる
  • 屈折率nから反射率Rは、n = sin α / sin βで計算できる
  • 屈折率が大きいほど反射率も高くなる
  • 屈折率が2.4もあるダイヤモンドは、反射率が高いのできらきら輝いて見える
  • 無色透明であれば、結晶に入った光はそのまま通過して裏側に抜ける。
  • 細かく砕いたダイヤモンドの粒を押し固めて見ると、それぞれの粒の表面でも光の一部が反射される
  • 粒の形はさまざまなので反射される光の方向もいろいろになる
  • いろいろな方向に光が反射されると、光は弱まり、違う方向から眺めても似た色、明るさで見えるので、光沢のない白色に見える
  • 物体の表面や内部で光がさまざまな方向に反射されることを散乱といい、散乱された光を散乱光という
  • 身の回りにある白いものは、本来は透明なもの