省エネ対策、東京都の対応

 久々に市民のための環境学ガイドをチェックしてみたら、省エネ対策で東京都と産業界がぶつかっているという記事が載っていた。ちょうど先週末、(財)省エネルギーセンターの常務理事によるオフィスビルの省エネ対策セミナーを聞いてきたばかりだったので、中身をチェックした。
 どうも二酸化炭素削減に関して国が一向に具体策を示さないので、東京都が率先して対策を打つということのようだ。省エネ対策というと、産業部門が中心で、業務部門にはあまり目を向けられていなかった。しかし、実際二酸化炭素排出において、産業部門が-5.5%と減少しているのに対して、業務部門は、+44.6%と部門別ではトップの位置にある。
 東京都もここの部分にメスを入れたいと考えているらしく、二酸化炭素排出量の4割以上を占める業務部門(オフィスや商業施設)がターゲットの第一番に挙がっている。産業界との衝突はここら当たりから来ている模様だ。
 省エネ対策といえば、現状事業所単位で行われている。従って、産業部門といっても、工場などの事業所が対策をうてばよいことになっている。国では、会社単位での取組を検討中とのことで、これが実現すると実質業務部門も対象に入ってはくる。しかし、オフィスを構えているのは、製造業ばかりではなく、商業施設や商社などのオフィスだけの企業も相当数ある。また、省エネを勧める上で、ネックとなる問題がこうした業務部門にはあるようだ。オフィスビルの場合、賃貸タイプも相当数あり、オーナーとテナントの間に省エネ対策に対する考え方の隔たりがあったりする。また、高級ホテルなどの施設では、豪華さが売り物になっていて、省エネと相反する部分を売り物にしているところもある。こうしたところが、東京都に対して反発しているのかもしれない。
 話はそれるが、市民のための環境ガイドの記事のなかで、京都議定書で定められている基準年が1900年であり、そのころまだオフィス機器(パソコンやコピー機など)が普及していない時代であったことがふれられている。オフィス環境の変化は1995年以降、windows95の爆発的な普及で始まっている。従って、そのレベルまでオフィス環境を戻すと言うことは到底ありえない。オフィス機器の省エネ化を進める以外には手だてが無いように思われる。しかし、業務部門の二酸化炭素排出量の増加傾向を分析すると、床面積と比例していることがわかる。つまり、オフィス面積が増えて二酸化排出量が増加していることになる。そうだとすると、単純にオフィス内環境の変化で増加しているとは言えそうにない。情報化社会となり、企業の業務形態が、オフィスを中心とするIT産業などが増加していることも増加の要因となっているように思われる。
 今後、大量生産大量消費社会から脱皮していけば、当然オフィスを中心とした製造を主としない企業が増えることになる。これからの社会に合わせた省エネ対策を考えていくには、オフィスなどの業務部門の省エネ対策が重要になってくると思う。その意味では、東京都に期待したい。