<span style="font-weight:bold;">地球サミットの概要</span>

 改訂2版「eco検定テキスト」(東京商工会議所編著)からの引用。

 1992(平成4)年、ブラジルのリオデジャネイロで「環境と開発に関する国際会議(地球サミット)」が開催されました。これは、1972年に開催された「国連人間環境会議(ストックホルム会議)」から20年ぶりに開催された環境に関する国際会議で、182カ国が参加しました。
 地球サミットでは、地球環境問題を人類共通の課題と位置づけ、地球環境保全と持続可能な開発の実現のために、次の事項について採択、または条約の署名が開始されました。

  1. 環境と開発に関するリオデジャネイロ宣言(リオ宣言)」の採択
  2. 気候変動枠組条約」および「生物多様性条約」の署名開始
  3. 森林原則声明」の採択
  4. 持続可能な開発のための人類の行動計画アジェンダ21」の採択

p.86

 何度か登場していますが、1992年にブラジルのリオデジャネイロで開催された地球サミットは、重要です。もう一度きちんと整理して覚えましょう。
 1972年にスウェーデンのストックホルムで行われた国連人間環境会議からちょうど20年ぶりに開かれた環境に関する国際会議で、重要な事項が取り決められた会議です。
 ここで、採択された4つの項目はどれも重要で、今進められている環境への取り組みの源泉がここにあります。

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リ<span style="font-weight:bold;">オ宣言の内容は</span>

 改訂2版「eco検定テキスト」(東京商工会議所編著)からの引用。

 リオ宣言は、人類共通の未来のために、地球環境を良好な状態に保全することをめざした、国家と国民の関係や果たすべき責任、行動原則などの集大成です。持続可能な開発を達成するためには、環境保護と開発・経済発展は一体であるとし、各国が相互に協力しあう国際的な取り組みの必要性を述べています。
 しかし、討議過程では、経済成長によって豊かな享受してきた先進国は環境保全重視であるのに対して、途上国は自国の開発を優先する権利があると主張し、意見対立がありました。また、途上国は、先進国に対して、地球環境問題に対する責任を果たすとともに、途上国の取り組みのために資金や技術を提供すべきであると主張しました。
 このため、リオ宣言の原則にも、「先進国の途上国に対する協力」や「途上国の開発の特別の権利」、「先進国の特別な責任」など、途上国への配慮がなされています。p.86

 リオ宣言が、環境への国際的な取り組みのおおもとになっています。ここで、国家と国民の関係や果たすべき責任、行動原則などが宣言されています。
 明るい未来を切り開いていくには、経済性に強く依存した開発ではだめで、地球環境を良好な状態で維持し続ける必要があります。環境保護と開発・経済発展は一体であるという認識が、この地球サミットで国際的に確認されました。
 1992年当時も、先進国と途上国との間の意見の相違がありました。先進国が環境保護重視なのに対し、途上国は自国の開発を優先する権利を主張していました。
 従って、リオ宣言にも、「先進国の途上国に対する協力」や「途上国の開発の特別の権利」、「先進国の特別な責任」など、途上国への配慮がなされています。

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<span style="font-weight:bold;">アジェンダ21とローカルアジェンダ21</span>

 改訂2版「eco検定テキスト」(東京商工会議所編著)からの引用。

 「アジェンダ21」は、21世紀に向けて持続可能な開発を実現するための具体的な行動計画です。「リオ宣言」に盛りこまれた諸原則をふまえ、課題とその施策を述べています。アジェンダ21の実施状況をレビューするため、国連に「持続可能な開発委員会(CSD)」が設置されています。
 アジェンダ21」では、地方公共団体の取り組みを促進するために、「ローカルアジェンダ21」を策定することを求めています。1993年、神奈川県で「アジェンダ21かながわ」、1994年東京都板橋区で「アジェンダ21いたばし」などの策定が進み、2003年には47都道府県、12政令指定都市、318市区町村で策定さえ(環境省調査)、地域に根ざした取り組みが進められています。p.87

 アジェンダ21は、リオ宣言をもとに策定された行動計画です。そして、アジェンダ21の進行状況を公表して、監視するために、「持続可能な開発委員会(CSD)」が設置されています。
 アジェンダ21では、地方公共団体の取り組みを促進するためにローカルアジェンダ21を策定すること求めています。日本でも、都道府県をはじめとして、各市町村においても、ローカルアジェンダ21が策定されています。

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<span style="font-weight:bold;">地球環境保全のための2つの国際条約の署名開始</span>

 改訂2版「eco検定テキスト」(東京商工会議所編著)からの引用。

(1)「気候変動枠組条約
 各締約国には、

  • 温室効果ガスの排出量を1990年の水準に減らすための排出抑制や吸収・固定化のための措置を講じ、
  • その結果予測に関する詳細な情報を提出し、
  • 締約国会議で定期的に審査を受けることや、
  • 先進国の途上国への資金・技術援助の実行などが規定さえています。

(2)「生物多様性条約

  • 地球上の多様な生物とその生息環境を保全し、
  • 生物資源を持続可能な形で利用すること、
  • 遺伝子資源を公平に利用することを目的とした国家戦略、計画の作成、
  • 自国の保全上重要な地域や生物種のリスト作成、保護区などの設定、
  • 技術移転、資源援助などを規定しています。

p.87

 気候変動枠組条約と生物多様性条約。2つとも何度も登場しています。環境問題の核といっても過言ではないでしょう。この二つの条約の署名が、この地球サミットから開始されています。
 気候変動枠組条約の温室効果ガスの排出量基準年が1990年であることは覚えておきましょう。
 日本が、高度経済成長期のつけとして、公害などの環境汚染問題で注目を浴びていたのが、1960年から1970年です。対策法令は、ほぼ1980年ぐらいまでにほぼ整備され、1990年代初頭の日本は、かなりの省エネ社会が実現されていました。
 従って、日本としては、基準年がもっと前に設定したかったのですが、日本の希望は叶えられませんでした。
 現在の目標である6%削減がいかに厳しい条件であるかが理解できると思います。

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<span style="font-weight:bold;">地球サミット以降の国家間の立場の違い</span>

 改訂2版「eco検定テキスト」(東京商工会議所編著)からの引用。

 1972年の「国連人間環境会議」から30年以上が経過しましたが、引き続き環境保全重視の先進国と開発の権利を優先させる途上国との意見対立が顕著に見られます。
 「共通だが差異のある責任」という概念が定着しつつあります。地球温暖化対策をめぐる「ポスト京都議定書」の議論においても、国家間の立場の違いがはっきり現れています。2009年12月にコペンハーゲン(デンマーク)で開催されたCOP15においても、先進国と途上国との主張には大きな隔たりがあります。先進国の中でも、米国とEU、日本の間にも立場の違いがあり、途上国においても中国、インドなどの新興国と島しょ国、最貧国とでは立場の違いが大きくなりつつあります。しかし、立場の違いを認識し、かつ乗り越えて、地球環境問題へ対処という「共通の責任」を果たすべく、協力していくことが重要ではないでしょうか。p.87

 わたしたちは、現在大気中にあるほとんどの温室効果ガスを先進国が排出した事実を認めなければなりません。その上で、途上国に環境保全を行いながら開発を進めていける方向性を明確に示していく必要があります。両立場の違いを埋めるには、それしか方法がないように思えます。

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