<span style="font-weight:bold;">酸性雨とは</span>

 改訂2版「eco検定テキスト」(東京商工会議所編著)からの引用。

 工場の排煙や自動車の排気などに含まれる硫黄酸化物(SOx)窒素酸化物(NOx)などが化学変化を起こし、硫酸・硝酸として雨・雪に溶けこんで地表に降ってくる現象をいいます。酸性の強さ(酸性度)は、水素イオン濃度pHという値で示されます。中性の状態をpH7と表し、値が小さいほど酸性が強く、値が大きいほどアルカリ性が強い状態であることを表します。自然の雨も大気中の二酸化炭素により弱酸性を示すため、酸性雨は、通常、pH5.6以下の雨とされています。
 酸性雨の原因は、化石燃料の燃焼により発生する大気汚染物質によるもので産業の発展と都市化など人間活動の変化によってもたらされました。
 火力発電所、工場、自動車などから、化石燃料の燃焼による硫黄酸化物や窒素酸化物が排出されます。それらの物質は、大気中で太陽光や炭化水素、酸素、水などの働きにより硫酸・硝酸などに変化します。これが雨・雪に溶けこむと、酸性度の強い雨や雪、つまり酸性雨になります。p.66

 大気汚染のところで、工場や自動車の排気ガスなどから硫黄酸化物や窒素酸化物が排出されることを学びました。この硫黄酸化物や窒素酸化物が化学変化し、酸である硫酸や硝酸に変化したものが雨に混じって降ってくる現象が、酸性雨です。

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<span style="font-weight:bold;">酸性雨の現状は</span>

 改訂2版「eco検定テキスト」(東京商工会議所編著)からの引用。

 酸性雨による被害は、欧米などの先進国だけでなく、中国、東南アジアなどの途上国にも広がっています。途上国は、硫黄成分の多く含まれた安価な石炭燃料の依存度が高いため、今後、ますます酸性雨の被害が深刻化するとみられています。
 日本では、環境省の調査(「酸性雨長期モニタリング報告書」2009年3月発表)によれば、2003〜2007年の5年間の地点別平均値は、岐阜県伊自良湖のpH4.51から小笠原のpH4.95の範囲にあり(全平均値はpH4.68)、植物に対して急性被害が懸念されるpH3.0未満の降水は観測されていませんでしたが、依然として、酸性雨が観測されていると報告されています。日本は、各種規制や省エネ技術の進歩などにより、硫黄酸化物、窒素酸化物の排出量は世界でもっとも低い水準にあります。しかし、酸性雨は、原因物質の発生源から数千キロメートルも離れた地域にも影響を及ぼす性質があるため、今後は、アジアなど大陸からの影響が懸念されます。p.66-67

 水素イオン濃度pHは、常識として覚えておきましょう。中性が7です。数が小さいほど酸性が強く、数が多いほどアルカリ性が強くなります。ちなみに14までしか数値はありません。
 もともと、雨は弱酸性であることも覚えておきましょう。
 硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)には、水素が含まれていませんが、硫酸や硝酸には水素が含まれていて、水に容易に溶ける状態になります。したがって、雨に混じって降ってくるのです。
 ところで、今週の日曜日にラジオを聞いていたら、香りの専門家が話していらっしゃって、窒素にはにおいがないが、窒素酸化物(NOx)には臭いがあるとおっしゃっていました。窒素酸化物(NOx)の臭いとは、雷を伴った夕立の後に残るちょっと焦げたような臭いだそうです。これは、雷によって、空気中の窒素が酸化され窒素酸化物(NOx)に変わって地表に落ちてきたものだそうです。ちなみに、窒素酸化物は雨の中には溶けこんでいません。

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<span style="font-weight:bold;">酸性雨の影響は</span>

 改訂2版「eco検定テキスト」(東京商工会議所編著)からの引用。

 酸性雨によるもっとも深刻な影響として心配されるのは、湖沼での生物の生息環境の悪化、森林の衰退です。酸性雨が木々に直接影響するだけでなく、土壌が酸性化して土の中の栄養分が溶け出したり、植物に有害な成分が溶け出して木々が枯れたりします。日本の森林では被害は顕在化していませんが、ヨーロッパでは、ドイツのシュバルツバルト(黒い森)が黄色い森に変わってしまうなど、酸性雨の影響とされる現象が現れました。その他に、次の影響が心配されています。

  1. 湖沼に住む魚類の減少・死滅
  2. 建造物や金属性構造物、文化財などの溶解被害

p.67

 ドイツのシュバルツバルト(黒い森)は、酸性雨の象徴として有名で、酸性雨と一緒に問題にでてくる場合があります。頭のどこかに置いておきましょう。

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