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アンカー効果

 長瀬勝彦著「あなたがお金で損をする本当の理由 (日経ビジネス人文庫 ブルー な 6-1)」(日経ビジネス文庫)からの引用。

[問1]あなたの自宅または携帯の電話番号の下二桁を書いてください。
[問2]アフリカの国連加盟国の数は、問1であなたが書いた数字よりも多いと思いますか、それとも少ないと思いますか。
[問3]アフリカの国連加盟国の数はいくつだと思いますか。

 さて、この質問にあなたはどう答えただろうか。ちなみに、アフリカの国連加盟国の数は、53カ国である。
 自分もそうだったのだが、おそらくほとんどの人が、自分の電話番号の下二桁と比較して加盟国の数を予想したと思う。もちろん、そうなるように仕向けるためにこの順番で質問されているのだが。
 当然のことながら、あなたの電話番号の下二桁とアフリカの国連加盟国の数とでは、何の因果関係もない。したがって、あなたの電話番号の下二桁を意識して加盟国数を予測しても何の意味もないのだ。しかし、人間はこういう風に質問されると最初の数字を意識して予想をしてしまう傾向があるらしい。これをアンカー効果というそうだ。
 この間、マクドナルドが朝コヒーを無料で提供するというキャンペーンを行っていた。もちろん、コヒー以外のものを購買させるのが目的なのだろう。これをあなたは、お得だと思うだろうか?
 以前、ブルックスというところから、コヒー豆をまとめ買いしたことがある。そのとき、一杯あたりの単価を計算したら10円前後だったと思う。個人消費者でこの値段で買えるのだから、おそらくマクドナルドぐらいの企業になると一杯1円前後が原価だろう(これはあくまで推測です)。
 したがって、おそらく、マクドナルドは1円程度を無料に下げたにすぎない。
 私たちは、コーヒーの値段をいくらぐらいが妥当だと判断しているのだろうか。もしそれが、喫茶店のコヒー代をアンカーに選んでいるとしたら、マクドナルドの無料は相当安くなってお得だということになる。実際は、100円ぐらいでマクドナルドはコーヒーを売っているのだから、100円が無料になるということだろう。この場合もお得感があるような気がする。
 しかし、先ほど書いたとおり、原価でみれば、マクドナルドにとってこのキャンペーンは十分に意味があるものになっている。つまりこのキャンペーンで売り上げをあげることができるのだ。
 アンカーになる数字がどこにあるのかで、人間の判断はかなり左右されてしまうということだ。
 ちなみに、自動販売機で買っているコヒーは、その大部分が缶代で、その缶を飲み終わったら捨てている。なんとも不合理なことだろう。