物理の基本的な前提

 リサ・ランドール著「ワープする宇宙―5次元時空の謎を解く」からの引用。

 ほとんどの物理の基本的な前提は、素粒子が物質の基本的な構成要素になっているとくことだ。外側の層をはがしていけば、最終的にかならず素粒子に突き当たる。素粒子物理学者は、これらの物質が最小構成単位となる宇宙を研究しているのである。ひも理論はこの過程をさらに一歩進めて、これらの素粒子を最も基本的なひもの振動と考える。ひも理論でも、物質が素粒子でなりたっているという考えは同じである。物質の中核にあって、それ以上分解できないものが素粒子である。
 あらゆるものが素粒子からできているといっても、にわかに信じがたいかもしれない。なにしろ裸眼ではまったくみえないものなのだ。しかし、それは私たちの知覚の解像度がお粗末で、何かの助けを借りないかぎり、原子のように微小なものはいっさい検出できないからである。とはいえ、私たちの目には見えないだけで、素粒子はやはり物資の基本構成単位である。コンピュータやテレビの画像がいくら滑らかに見えようと、実際は小さなドットで構成されているように、物質は原子で構成されており、その原子は素粒子で構成されている。わたしたちのまわりにある物理的な物体はみな滑らかで継ぎ目なくみえるけれども、実際は決してそうではない。(P.114)

 普通、一般の人に、「全ての物質は原子でできていて、原子は原子核と電子できている。そして、原子核の中の陽子と中性子の数と、電子の数が違うことで違う原子になる。従って、どんな物質も陽子と中性子と電子でなりたっている。」と説明するとまずきょとんとされる。この昔学校で習ったはずの概念がまったく抜け落ちている人は多いと思う。
 また、理系の人でも研究職に就いていない人(自分もそうだが)にとって、陽子や中性子、そして電子の話しまではついていけるが、素粒子の世界に入ってくると途端に戸惑ってしまう。まして、この本で語られている余剰次元の話しとなると、どうにもついて行けない自分がそこにある。
 この本は、数学的な記述をほとんどしないで素粒子やひも理論、そして歪曲した五次元のはなしが展開される。イメージはある程度わくのだが、納得するための数式がないぶん逆にわかりにくい部分もある。特に、歪曲した五次元はいけない。頭の中がウニの一歩手前状態にある。