極限を持つもの持たないもの
E.オマール著「不思議な数eの物語」より引用。
数列について極限操作がどのような結果を生むかは具体的に予想できる。しかし、極限値がいくつか、あるいは極限値が存在するかどうかすらすぐに分からないことが多い。例えば、数列(に対して)はのとき極限値に近づく。このことは、分母と分子をで割って得られる等価の式を見れば分かる。すなわち、のときもも0に近づくから全体の式はに近づくことが分かる。一方、数列(に対して)はのとき限りなく大きくなる。その理由は分子のの項が分母より速く大きくなるためである。厳密に言えばこの数列は極限をもたないが、このことをと書き表す。極限値は(もし存在するなら)ある確定した実数でなければならないが、無限大は実数ではない。
実際に、上記の式とをエクセルで計算してみると、
1 | 0.429 | 0.429 |
2 | 0.500 | 0.900 |
3 | 0.538 | 1.462 |
10 | 0.618 | 5.912 |
50 | 0.656 | 32.474 |
100 | 0.661 | 65.793 |
1000 | 0.666 | 665.779 |
10,000 | 0.666 | 6665.778 |
となり、は0.666つまり2/3に近づくことが分かるのに対して、は限りなく大きくなっていくことがわかる。この無限大は普通の数と同じように四則演算ができない。ここに落とし穴がある。それについては、また来週記述する。