プラズマ振動数

 細野秀雄・神谷俊夫共著「透明金属が拓く驚異の世界 不可能に挑むナノテクノロジーの錬金術 (サイエンス・アイ新書)」(ソフトバンククリエイティブ)からの要約。

  • 金属には、ある波長の光を「ほぼ完全に」反射する性質がある。
  • 金属の中にはたくさんの自由に動ける電子がある。
  • 光は、電磁波で、電界を持ち、電界の強度は光の周波数で振動している。
  • 電子はこの電界によって力を受けて運動する。
  • 従って、電子も光と同じ周波数で振動させられる。
  • 電子が光と同じ速さで振動できるのは、光の電界がある速さよりも遅いときだけ。
  • この光の周波数を「プラズマ振動数」という。
  • 光の周波数がプラズマ振動数よりも低いときは、電子は光の電界に従って運動する。
  • 光の周波数がプラズマ振動数よりも高くなると電子はだんだん追従できなくなる。
  • 電子が光の周波数と同じように運動していると、光は金属の中に入っていくことができなくなり、金属の表面でほぼ完全に反射される。
  • 光を反射するかどうかを決めているプラズマ振動数は電子密度で決まり、電子密度が大きくなるほど高くなる。
  • ドルーデの自由電子モデルでは、電子密度をN 10^{22}cm^{-3}とすると、プラズマ振動数に対応するエネルギー E_{p} (eV)は、E_{p} = 3.7 sqrt{N} で計算できる。
  • ただし、金属のプラズマ振動数は、ドルーデの自由電子モデルでは単純すぎて、正しい値は計算できない。実際には、電子がエネルギー帯間を移動するときのエネルギーも関わっている。
  • 電子の密度を1.6 \times 10^{21} cm^{-3} としたときの透過率、反射率、吸収率を示したグラフを示す(図5-1)。
  • プラズマ振動数は840nmとなり、赤外線反射率が100%になっている。