ISBN:4152087234:titleをサウナに忘れる

 先週の日曜日、いつも午後行くサウナに「貧困の終焉―2025年までに世界を変える」を忘れてきてしまった。その影響で、ここ二三日ブログの更新を怠ってしまった。同時並行で読んでいる「ウェブ人間論 (新潮新書)」(新潮新書)は、梅田望夫氏と平野啓一郎氏の対談本なので、なかなか引用しづらいというか、内容を良く理解した上で部分的に引用する形でないと話を展開しにくい。
 ジェフリー・サックス著「貧困の終焉―2025年までに世界を変える」は、今年読んだ本の中でおそらくいちばん印象に残る本になると思う。著者のジェフリー・サックス氏が提案している臨床経済学(貧困の原因をその国の様々な状況に照らし合わせて経済学的に対処方法を検討し実行していく)は、まさしく正しい政策だと思う。ロシアがどうして自由経済システムや民主主義を受け入れられなかったのかは、本や文献などの知識からだけでは、わからなかっただろう。その国を訪問し、直にその国の状況を判断するという作業が必要だったようだ。本で指摘しているように、ロシアの国民は民主主義を一度も経験していない。従って、誰かに物事を判断してもらう方がロシア国民は安心する。給料などの生活費も、「多くはないが国が支給してくれるのだからいちばんリスクは少ない」と判断してしまう国民性がロシアには根付いていたと著者は言う。
 日本でもお役所に何かを決めてもらったほうが安心という風習はかなり残っているのではないかと思う。本当の意味での民主主義は日本でも根付いていないような気がする。天下り問題がまた浮上しているが、そもそも日本では、お役所に頼らないと物事を最終的に判断できない体質がいまだに抜け切れていないような気がする。しがらみを頼り当選してくる二世議員ばかりが目立つ国会に斬新さを求めても無理だと思う。カリスマ性のある政治家が登場しない限り、国を大きく変えることは出来ないような気がする。
 「ウェブ人間論 (新潮新書)」などのインターネットがらみの話を読んでいると、現実世界とのギャップを大きく感じる。そのギャップとはスピードだ。明らかにインターネットのほうが、現実世界よりも急速に発達している。一方、現実世界の国会は、今日も昭和の頃の雰囲気を感じさせるスピードで議会が運営されているように見えてならない。