放射線利用

 毎日新聞の「放射線:香辛料の照射「検討を」 原子力委部会が報告書」という記事。

放射線:香辛料の照射「検討を」 原子力委部会が報告書


 原子力委員会の食品照射専門部会は13日、殺菌などを目的に香辛料に放射線を照射することの評価・検討を始めるべきだ、との報告書案をまとめた。国民への意見募集を経て正式に報告書をまとめる。その後、食品安全を担当する厚生労働省が検討の是非を判断するが、消費者団体などは、「必然性や緊急性がなく、安全にも疑問がある」と強く反対している。

 食品照射は殺菌・殺虫のほか、発芽予防のため放射線を利用するもの。香辛料への照射は多くの国で認められているが、国内では食品への利用は原則違法で、ジャガイモの発芽防止に限って認められている。

 報告書案では、「(農薬など)化学薬剤の使用が環境への影響などから制限される方向にあり、食品照射は有効な技術の一つ」と明記。さらに適正な線量等を守れば安全であるとの研究成果が蓄積されているとし、環境整備を求めた。

 この問題では厚労省は00年、業界団体「全日本スパイス協会」が照射を求めた94品目について「必然性はない」と取り上げなかった経緯がある。しかし、昨年10月、「多くの国で実績がある食品については食品照射を検討すべきだ」などとする原子力政策大綱が閣議決定されたため、原子力委の専門部会が放射線利用拡大の観点から議論を進めていた。【中村牧生】

毎日新聞 2006年7月13日 22時16分

 食品の殺菌に放射線を利用すべきとの記事。消費者団体が強く反発しているらしい。前から思っていたのだが、医療利用はOKで、食品の殺菌はNOというのはどういうことなのだろうか。直接人間の体に照射する方が間接的に照射された食品を食べるよりも恐いと思う方が普通に思えるのだが・・・。まして、食品の場合、照射されたものを買わなければいいのだから、強く反発する必要はないのではないだろうか。
 放射線を照射して食品を殺菌する原理は、ここに載っている。日本原子力研究機構のホームページ内にある原子力百科事典ATOMICAの記載だから、消費者団体は、信用しないかもしれないが、「主要な生物効果は水が分解して生じる活性酸素による遺伝子(DNA)の酸化切断反応によるものである。」とある。
 活性酸素による遺伝子の損傷は、日々体の中で起こっている現象なので、放射線特有のものではない。放射線からエネルギーを得た水分子が活性酸素を生じるのである。食品への放射能汚染はないことがわかっているのだから、体に直接照射するよりもずっと安全だと思う。