<span style="font-weight:bold;">エコツーリズムとは</span>

 改訂2版「eco検定テキスト」(東京商工会議所編著)からの引用。

 エコツーリズムとは、「自然(歴史文化)体験・学習観光の総称」と定義されているとおり、自然環境や歴史文化を対象とし、それらを体験し学ぶとともに、対象となる地域の自然環境や歴史文化の価値が維持されるよう保全したり、価値の向上を図っていこうという考え方です。
 2007(平成19)年6月には、適切なエコツーリズムを推進するための総合的な枠組みを定まる法律として、エコツーリズム推進法が制定されました(2008年4月1日施行)。
 この法律は、地域の自然環境の保全に配慮しつつ、地域の創意くふうを活かした「エコツーリズム」を推進するにあたり、具体的な推進方策を定め、2にあるように、エコツーリズムを通じた自然環境の保全、観光振興、地域振興、環境教育の推進を図るものです。
 この考え方を実践するための旅は、エコツアーと呼ばれています。環境省は「エコツーリズム推進会議」を設置し、モデル事業の採択や、それの普及を図っています。環境省が制定した「エコツーリズム憲章」では、エコツーリズムの理念がうたわれています。

 エコツーリズムというと、どこかの旅行会社がキャンペーンを行っているように聞こえますが、推進する法律まで作って、国が進めている自然環境の保全、観光振興、地域振興、環境教育の推進を目的とした自然体験・学習観光の総称です。

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<span style="font-weight:bold;">エコツーリズムの効果</span>

 改訂2版「eco検定テキスト」(東京商工会議所編著)からの引用。

 エコツーリズムの効果としては、次の3つが考えられています。

  • 対象地域の自然環境・文化資源に対しては、それらの価値が維持されるよう保全され、または向上する。
  • 観光業に対しては、新たなニーズに的確に対応し、新たな観光需要を起こすことができる。
  • 地域社会に対しては、雇用の確保などの経済波及効果や、住民が地域に誇りをもつことなどにより、地域振興につながる。

 たしかに、外部からツアー参加者が訪れることによる相当の収入が見込めれば、それを施設補修にあてることができ、みやげ物屋も増えることでしょう。”おらが町”の観光名所を誇りとし、町を離れずにボランティアとして働く若者も増えるかもしれません。実際にエコツアー誘致が盛んなところでは、「エコツアーガイド」「ネイチャーガイド」と呼ばれる人たちが案内役を務め、観光客として訪れていつの間にかそこに住み着いた、という人もいます。しかし、100平米運動などで知られ、エコツアーのメッカと呼ばれる知床でも、観光客による環境破壊は依然として多く、「かわいい」とエサをあげたばかりに自分で食物をとることを放棄し、やがて道路に飛び出し事故にあう「観光ぎつね」などを生み出しています。観光がほぼ唯一の収入源である尾瀬湿原でも、保全の観点から観光客の立ち入りを制限するという皮肉な現実も散見されます。
 エコツーリズムの効果は、それぞれ本来の環境保全・維持という大前提と矛盾する部分も含んでいます。これを解決しようとする取り組みとしては、「世界遺産を守る持続可能な観光計画」などがあげられます。また、いくら環境によいということが理解できても、ハイブリッド車などの「エコカー」や自転車に乗って出かけ、ごみはすべて分別し、持参した紙袋に入れて持ち帰るといったエコな旅を実践している人は、わずかな割合といえます。

 環境保全や維持していくには、それなりのお金が必要です。環境保全と観光の両立といった難しい課題がここにあります。ある程度注目を集めないと資金を用意することは難しいでしょう。しかし、注目が集まりすぎて多くの人が集まってしまい環境破壊をおこすケースも少なくありません。
 このエコ検定は、環境に関して一定レベルの知識を身につけ、共通認識にたち、こうした課題をみんなで克服するために設けられています。
 合格した暁には、ぜひ、こうした課題にチャレンジしてみてください。

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