<span style="font-weight:bold;">新エネルギーと導入の意義</span>

 改訂2版「eco検定テキスト」(東京商工会議所編著)からの引用。

 「新エネルギー法」では、石油代替えエネルギーのうち、経済性の面における制約から普及が十分でないものであって、その促進を図ることが石油代替エネルギーの導入を図るため特に必要なものとして、太陽光発電、風力発電、バイオマスエネルギー(発電、熱利用、燃料製造)、太陽熱利用、中小水力、温度差熱利用、雪氷熱利用、地熱発電を新エネルギー利用と規定しています。
 新エネルギーは、国産エネルギーであること、二酸化炭素の排出量が少ないことから、エネルギーの安定供給の確保、地球温暖化対策への対応の観点から積極的な導入が期待されています。さらに、新エネルギーにかかわる技術は、電気機器、素材、住宅など幅広い産業が関係する技術であり、新エネルギーの活用は新規市場や雇用の創出につながり、環境と経済の両立が期待されています。

 日本としては、何としてもエネルギー自給率(現状は約4%)を向上させていかなければなりません。そのために、現状では採算性が合わないエネルギーでも、国産であること、また二酸化炭素排出量が少ないものであれば、普及の対象にしようとしています。
 しかし、中期的には化石燃料に頼らざるを得ないのが現状です。

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<span style="font-weight:bold;">主な新エネルギーの導入状況</span>

 改訂2版「eco検定テキスト」(東京商工会議所編著)からの引用。

(1)太陽光発電
 太陽光発電の導入量は、近年着実に伸びており、2008(平成20)年末累計で214万kWに達しています。世界的に見ると、ドイツやスペインが最近急速に導入を進めており、日本は2004年末まで最大の導入国でしたが、2008年末ではドイツ、スペインに次いで世界第3位となっています。発電コストが高い、天候や日照条件などにより出力が不安定であるなどの課題があります。

 太陽光発電の導入は、国の補助金政策が大きく影響します。日本が抜かれるまでは、日本にも補助金制度があり、それなりに普及が進んでいたのです。補助券制度打ち切り後にドイツに首位を奪われました。もちろん、ドイツやスペインで急速に導入が進んだのも国の政策がそこにあったからです。最近、また着実に増え始めたのは、補助金制度が復活したからです。
 太陽光発電は、天候に左右されるところが多いこと、コストがまだまだ高いこと、発電効率もあまり高くないことが課題です。

(2)風力発電
 風力発電は、2008(平成20)年度末現在で出力188万kWとなっており、世界第13位となっています。技術開発や大規模化によるコスト低減から事業採算性が向上しており、北海道や東北を中心に大規模なウィンドファームの建設が進んでいます。一方、日本は欧米諸国に比べて平地が少なく地形も複雑なことなどの理由から、風力発電の設置に適した地域が少ないといった事情があります。

 風力発電は、ここに書かれているとおり、設置場所が発電の大きなファクターとなります。
 また、最近では風力発電の羽の音に対する苦情が住民から出たり、渡り鳥などがぶつかる事故などがあり、設置場所が課題のひとつとなっています。

(3)バイオマスエネルギー
 バイオマスエネルギーとは、化石資源を除く動植物に由来する有機物でエネルギー源として利用可能なものを指します。バイオマスは「カーボンニュートラル」な再生可能なエネルギーとされています。
 バイオマスエネルギー源は、原料面から廃棄物系植物(栽培作物)系とに分類されます。日本において現在利用されているバイオマスエネルギーは、廃棄物の焼却によるエネルギーが主となっています。一方、植物(栽培作物)系バイオマスは、トウモロコシ、サトウキビなどの植物を醗酵させてバイオエタノールに転換し燃料として利用するものです。バイオエタノールは、バイオディーゼル燃料とともに輸送用燃料として注目されています。
 バイオエタノールの普及拡大は、アメリカ、ブラジル、EU、中国などで進められています。日本では、サトウキビから砂糖をつくるさいの副産物等を原料とするバイオエタノール、廃食用油を原料とするバイオディーゼル燃料が生産されていますが、世界の各国と比較して、まだ生産量は少ない状況にあります。なお、日本では2007(平成19)年4月よりバイオエタノールから製造した製品(ETBE)を含んだガソリンの販売が始まっています。
 一方で、バイオ燃料の生産量増加により、食料や家畜飼料に使われている作物が燃料用に転用される割合が増加するに伴い、これらの穀物価格が高騰し「食料用の穀物を燃料に使うべきでない」という声が高まっています。こうした問題を避けるため、食料と競合しない第二世代のバイオ燃料の開発が進んでいます。日本では、今後、国産バイオ燃料の大幅な生産拡大を図るうえで、稲わら、廃木材、藻類等、食料と競合しない原料からの第二世代バイオ燃料の生産技術の開発を重点的に進めることにしています。

 バイオマスエネルギーは、廃棄物系と植物系があることを覚えておきましょう。日本では、廃棄物系が主となっています。国土の狭い日本では、当然といえば当然の結果です。現在、東京では、TOKYO油田2017というプロジェクトが行われています。2017年までに、東京で使用済みとなったすべての天ぷら油を回収し、バイオマスエネルギーとして活用しようという試みです。
 植物系のバイオマスエタノールは、常に食料や飼料との争いと向き合わなければなりません。バイオマスエタノールに原料が偏ってしまうと、穀物価格の高騰が起こるからです。食料原料以外を使用した生産技術の確立が急務です。
 また、バイオマスエタノールの最大の欠点として、「同じ量のガソリンと比較して熱量が約34%小さいこと」があげられます。つまり、同じ量で得られるエネルギーがガソリンの約6割しかないことになります。
 従って、専門家の間では、エタノールを燃料として使用するのは非効率だという意見もあります。なぜ、ガソリンに数パーセント混ぜて使用しているのかの理由は、ここにあります。

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