2006-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ホイルの貢献(2)

19世紀中頃、宇宙論研究者たちは、水素とヘリウム以外の原子がどうやって生成されたのかをうまく説明できなかった。ビッグバン・モデルでは、水素とヘリウムはビッグバンが生じたときに生成したとしている。そして、その生成量は、今の水素とヘリウムの宇宙…

宇宙論の簡単な経緯とホイルの貢献(1)

1920年代、ルメートルがビッグバン・モデル(宇宙創造の瞬間があり、宇宙は進化している)を提唱し、宇宙は永遠で静的なものだと考えられていた従来のモデルに対抗する宇宙モデルが誕生した。アインシュタインは、当初宇宙は永遠で静的なものと信じ、一…

再結合と光の行方

サイモン・シン著「ビッグバン宇宙論 (下)」からの引用。 アルファーとハーマンは、初期宇宙の歴史を明らかにする作業を続けながら、時間とともに宇宙が膨張するにつれて、光の海とプラズマはどうなっただろうかと考えた。そして二人が気づいたのは、宇宙が…

誕生1時間後の宇宙

サイモン・シン著「ビッグバン宇宙論 (下)」からの引用。 一般に、物質には4つの状態がある。第1の、もっとも温度の低いときの状態は個体で、固体中の原子や分子はお互いにしっかりと結合している。第2の、少し温度の高いときの状態は液体で、液体中の原…

水素とヘリウムの比率

サイモン・シン著「ビッグバン宇宙論 (下)」からの引用。 一ヶ月が過ぎるごとに、アルファーは、ビッグバンから数分後のヘリウム形成が正しくモデル化できていることに自信を深めていった。彼がいっそう確信を強めたのは、自分の計算が現実世界とよく合って…

ルメートルの宇宙とガモフの宇宙

サイモン・シン著「ビッグバン宇宙論 (上)」からの引用。 ガモフの研究について見ていく前に、元素合成に関するルメートルの考えを思い出しておこう。ルメートルの宇宙は、たった1個の非常に重い原初の原子から始まる。原初の原子は、ほかのすべての原子の…

統治客体意識からの脱却

丸田隆著「裁判員制度 (平凡社新書)」(平凡社新書)からの引用。 私たちは私的生活に忙しく、地域政治はもちろんのこと、国政においても、ほとんど直接関わりを持たない。ましていわんや、裁判所などはできれば関わりを避けたい場所であるかもしれない。そ…

太陽で水素がヘリウムに核融合される経路

サイモン・シン著「ビッグバン宇宙論」からの引用。 ベーテは、当時太陽の内部で実現していると考えられていた温度と圧力の条件下では、水素をヘリウムにするには二つの核反応経路があることを突き止めた。ひとつの経路は、普通の水素(1個の陽子)が、より…

原子核物理学の重要な成果

サイモン・シン著「ビッグバン宇宙論 (上)」からの引用。 本章で天文学や宇宙論の用語が出てこなくなってからずいぶん経つが、原子と原子核の物理学の大躍進を紹介しておくことは非常に重要なのである。というのもこの進展が、ビッグバン・モデルの検証にあ…

放射能の背後にあるメカニズム

サイモン・シン著「ビッグバン宇宙論 (下)」からの引用。 原子の構造と、それを構成する粒子に関する確かな知識を武器として、物理学者たちはついに、ピエール・キュリーとマリー・キュリーが研究した放射能の根本原因を説明できるようになった。原子核はす…

原子のサイズ

サイモン・シン著「ビッグバン宇宙論 (上)」からの引用。 原子のサイズは、陽子、中性子、電子の個数によって変わるが、一般には、直径が10億分の1メートルよりも小さい程度である。しかしラザフォードの散乱実験は、原子核の直径はそれよりもさらに10…

放射能の発見

サイモン・シン著「ビッグバン宇宙論 (上)」からの引用。 原子を理解しようという試みが始まったのは、化学者と物理学者が「放射能」という性質に興味をもったときのことだった。放射能が発見されたのは、1896年である。その後、ウランなど重い原子のい…

宇宙の元素存在比

サイモン・シン著「ビッグバン宇宙論 (上)」からの引用。 ビッグバン・モデルが受け入れられるためには、無視するわけにはいかないひとつの問題があった。一見すると何の害もなさそうなその問題は、「豊富な物質もあれば、まれにしか存在しない物質もあるの…

日本化学工業協会の対応

NHKのためしてガッテンで放映された「環境ホルモン」に関して、日本化学工業協会が意見書をNHKに送った内容が公表されている。適切な対応だと思う。番組の偏りに関して言及しているし、環境ホルモンに対する対応方法に関しても妥当だと思う。 このホー…

フレーミング効果

サインエンスの日本語ホームページに脳とフレーミング効果との関係が明らかになりつつあることが載っている。フレーミング効果とは、意志決定する際に、客観的状況が同じでも、伝え方(例えば、ポジティブかネガティブとか)が違うと、判断する側が違った判…

セファイド

サイモン・シン著「ビッグバン宇宙論 (上)」からの引用。星の中には、一定の周期で明るさが変わるものがある。北極星は、地球からもっとも近いセファイドなのだが、ごくわずかしか明るさが変化しない。このように、セファイドによって明るさの周期は異なって…

新しい理論が受け入れられるメリットとは?

サイモン・シン著「ビッグバン宇宙論 (上)」からの引用。ニュートンの重力理論が常識だった世の中で、アインシュタインの新しい重力理論が受け入れられた理由が記載されている。 物理学にとってはニュートンの重力理論で十分だったというのに、なぜ物理学者…

いかにして法を成立させうる政治的回路をネットワークに実装するか

白田秀彰著「インターネットの法と慣習 かなり奇妙な法学入門 [ソフトバンク新書]」からの引用。 私は「ネットワークには独自の法あるいは固有の価値がありうるはずだ」という主張を揚げている。ところが実際には、そうした独自の法や価値は、なかなか成長し…

国際的な合意は、議会のコントロールが効いているわけでない

白田秀彰著「インターネットの法と慣習 かなり奇妙な法学入門 [ソフトバンク新書]」からの引用。 議会において政策Aと政策Bが対立している。しかも、それは法律レベルではなく憲法レベルの対立を含んでいるとする。政策Aにも政策Bにも法的・憲法的な根拠…

近代法の原則から外れている「P2P海賊行為防止法案」

白田秀彰著「インターネットの法と慣習 かなり奇妙な法学入門 [ソフトバンク新書]」からの引用。 現在のところ、たとえその目的が正当なものであっても、クラッキング(他人のコンピュータへの侵入や妨害行為)はされている。アメリカでは、「コンピュータ詐…

太陽中心モデルが広まっていった理由

サイモン・シン著「ビックバン宇宙論」からの引用。17世紀にガリレオが「天文対話」によって太陽中心モデル(太陽を中心に地球など惑星が動いている説)を多くの一般市民にひろげた後、18世紀になって、太陽中心モデルは天文学者たちに広まっていった。 太陽…

真実でない常識

ここのところ、白田秀彰著「インターネットの法と慣習 かなり奇妙な法学入門 [ソフトバンク新書]」から引用をつづけている。本来なら本書の確論であるインターネットを活用するためにはどういった法整備が必要かといった議論に入るべきなのだが、ここで、ち…

判例主義・アメリカの場合

白田秀彰著「インターネットの法と慣習 かなり奇妙な法学入門 [ソフトバンク新書]」からの引用。 アメリカでは、イギリスでの「法の支配」の原則がそのまま残った。法もイギリスの法=コモン・ローをほとんどそのまま受け継いだ(ルイジアナ州はフランスから…

EUの環境指標

白田秀彰著「インターネットの法と慣習 かなり奇妙な法学入門 [ソフトバンク新書]」から引用した英米法と大陸法の歴史的背景とイギリスの法と慣習 を踏まえて見ると、EUの環境対策に関して、今までと別の見方ができるかもしれない。例えば、NEDOが出し…