学芸員は観光振興のがん

地方創生相が発言した一言。「がん」ということばに、患者やその家族から傷ついたという声が多く届いていると日経新聞の春秋蘭に書かれていた。「○○はがん」この表現、確かに何気なく使用してしまうケースがあるような気がする。何気ない一言が、思いもよらぬ人々を傷つけてしまう。


「がん」を辞書で引くと「そのものの内部にあって、取り除きようのない障害、欠点」(新明解国語辞典)とある。病気の「がん」からくる比喩なのだろう。しかし、病気の「がん」そのもののとらえ方が、現在では比喩とまったく違ったものになっていると筆者は言う。病気の「がん」は日常的に私たちの体の中で発生しており、正常な人では、発生した「がん」を取り除く機能が正常に働いているので「がん」の発生を抑えられている。「がん」は取り除きようのない障害ではなく、常に取り除かれている障害なのだ。


それでは、「そのものの内部にあって、取り除きようのない障害、欠点」という意味で使う言葉としてどういうのがよいのだろうか。体に関することばはなるべく避けた方が無難だ。「重荷」あるいは「お荷物」といったところだろうか。