読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

使われなくなっていく言葉たち

 電子書籍を使うようになってから、2年が経とうとしている。ソニーの電子書籍からキンドルに切り替えたのが昨年の12月。新刊本を読む他、今まで文庫本等の紙媒体で所持していた本のうち、採っておきたい本のみを電子版で再購入している。

 今読み直しているのが、石田衣良著「池袋ウェストゲートパーク」シリーズ。シリーズ一作目は、1998年9月に発刊されている。

 石田衣良氏は、ファッションを含めその時代の流行をさり気なく文の中に書き綴るのがうまい作家で、その時代に登場したIT技術や電子機器などが端々にちりばめられていたりする。

 1998年というと、ウィンドウス98が登場した年で、記憶媒体は、フロッピーディスクからCDやMOディスクに切り替わりつつある時代だったと思う。記憶量の単位がキロバイトからメガバイトに変わったころだった。

 ウィキペディアによると、1998年はレコードやカセットテープを含めたCDの売上げが最大になった年らしい。その後、CD不況へとまっしぐらに進んでいく。

 しかし、15年経った今、「池袋ウェストゲートパーク1」に登場する言葉の中で、現在ではほとんど使われなくなったものが、いくつもある。PHS、テレビデオ、MDディスク、MOディスク等、機器そのものが姿を消したものがほとんどだ。

 この頃は、持ち運べる形態プレイヤーである「ウォークマン」という商品の形状が現在とはかなり異なっていた。まだ、カセットテープを利用したもの、CDを利用するもの、そしてMDディスクを使用するものが並列であった気がする。いずれもモーターを利用したタイプで、かなりかさばるものだった。現在のものからは想像もつかない形をしていた。

 逆に、今では当たり前のように使用されているのに、この頃、まだ実現できていない技術が違った形で登場している部分もある。マコトが仲間とやりとりするのに無線機を使用しているが、今なら携帯電話で、LINEやTwitter、そしてFacebookなどのSNSを使用すれば誰でも利用できる環境が整っている。

 また、街の風景も今と若干異なっていて、ちょっと違和感を感じる部分もある。特に秋葉原の街は、あの頃と今ではかなり違っているように思える。

 このように、この15年で、確実にそして、速度を上げて世の中は変化している。

 1998年当時に15年前の本を読んだ場合と、いま15年前に書かれた本を読む場合で、前者よりも後者の方がかなり昔に書かれた本を読んだ気になってしまうのは、時代の変化のスピードが確実に速くなっているからなのだろう。

 そして、使われなくなっていく言葉の数もそのスピードとともに加速して増え続けていくのかもしれない。