ウイルスって何からできているの?

 岡田吉美著「ウイルスってなんだろう (岩波ジュニア新書)」からの引用。

 最初に純粋な形で分離されたウィルスは、TMV(タバコモザイクウィルス)です。第1章3で述べたように。TMVはタンパク質らしいという予想で、タンパク質の精製法をそのまま使って精製され、そして見事に結晶化されました。予想通り大部分がタンパク質でしたが、RNAという核酸も含まれていることがわかりました。正確な分析の結果、TMVは95%のタンパク質と5%のRNAからできていることがわかりました。TMVは核酸とタンパク質の複合体だったのです。

 ウイルスの種類によって核酸がDNAだったり、2本鎖のRNAだったりするそうですが、基本的にはウイルスは、核酸とタンパク質の複合体だそうです。
 TMVの場合、RNAをタンパク質が覆い隠すように構成されています。
 さて、核酸すなわち遺伝子をウイルスが持っているということは、他の生物の細胞を利用しなければなりませんが、増殖が可能だということです。ただし、その一方で結晶化するということは、規則正しく整列した化学物質でもあります。細胞に触れないで存在しているときはただの化学物質であり、細胞に触れて遺伝子をコピーできる環境が整うと増殖します。実にやっかいな存在です。
 人間は、生命を維持するために必要なビタミンを自分の力で合成することができません。そのため、合成できる他の生物、豚とかオレンジやレモンなどから接種するしか方法がありせん。ウイルスも他の力を利用しないと増殖することができません。そういう意味では、ウイルスも生きものなのかもしれません。
結論は、専門家に委ねますが…。