<span style="font-weight:bold;">石油危機と日本のエネルギー対策</span>

 改訂2版「eco検定テキスト」(東京商工会議所編著)からの引用。

 第一次石油危機(オイルショックが発生した1973(昭和48)年当時、日本の石油依存度は77%でした。日本は、エネルギーの安定的な供給を図ることが国の将来を左右する最重要課題と位置づけ、エネルギー供給安定化のための施策が実施されました。具体的には、(a)石油依存度の低減、(b)省エネルギーの推進、(c)新エネルギーの研究開発を進めてきました。
(1)石油依存度の低減
 第一次石油危機後、原子力や天然ガスの導入、新エネルギーの開発が進められ、一次エネルギー供給における石油依存度は2007年度では43.9%となり、第一次石油危機当時と比べて、かなり低減しています。しかし、天然ガス、石炭を含めて化石エネルギー全体の依存度は80%を越えており、依然として、きわめて高い水準を維持しています。
図表3ー11日本のエネルギー供給の内訳

1973年度 2007年度
石油 77.4% 43.9%
石炭 15.3% 22.1%
天然ガス 1.6% 17.9%
原子力 0.6% 10.2%
水力 4.1% 2.8%
新エネルギー・地熱等 1.0% 3.1%

 オイルショックを基に日本では、省エネ対策が実施されました。その結果、石油依存度は1973年度の77.4%から43.9%(2007年度)まで下がりました。しかし、残念ながら、原子力や約10%程度増えた以外は、他の化石燃料である石炭や天然ガスに移管しただけで、化石燃料への依存率は、いまだ80%を超えています。

(2)省エネルギーの推進
 石油危機により省エネルギーの重要性が認識され、法制度の整備、各種省エネ施策が推進されてきました。法整備について1979(昭和54)年に「省エネ法」が制定され、工場、建築物および機械器具に関する省エネが進められてきました。省エネ法は、その後のエネルギーをめぐる経済的・社会的環境の変化に対応するため、1998(平成10)年に自動車や電気機器などにトップランナー方式を導入しました。さらに、エネルギー消費の伸びが著しい民生・業務部門、運輸部門における省エネルギー対策の強化等を目的として、2005(平成17)年、2008(平成20)年に省エネ法の改正が行われてきました。その結果、運送会社やコンビニエンスストア・スーパーなどのフランチャイズチェーンも、エネルギー管理の対象となりました。さらに、エネルギー管理の義務が工場・事業場単位から会社単位になりました。

 トップランナー方式は、エネルギー消費機器の性能を向上させるために1998(平成10)年に導入されました。省エネ法では、メーカーなどに対象機器を特定して省エネ目標値(トップランナー基準)の達成を義務づけています。
 対象機器は、乗用自動車、エアコン、テレビ、液晶・プラズマテレビ、蛍光灯、電気冷蔵庫、電子レンジなど23機器(2009年7月時点)です。
 省エネ法改正に伴い、エネルギー管理の義務が工場・事業所単位から会社単位に変わっています。

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