<span style="font-weight:bold;">環境基本法</span>

 改訂2版「eco検定テキスト」(東京商工会議所編著)からの引用。

 1960年代から1970年代にかけて各地で顕在化した産業公害に対応するため、1967(昭和42)年に「公害対策基本法」が制定されました。しかし、その後、大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会経済システムが拡大し、人口や経済活動の都市への集中などによって、都市生活型の環境問題や廃棄物の問題、さらには地球規模での環境問題が顕在化してきました。これらに対応するためには従来の公害を規制する「公害対策基本法」では対応できなくなり、環境保全に関する基本理念を定め、環境保全背策を総合的かつ計画的に推進することを目的にした「環境基本法」が、1993(平成5)年に制定されました。
(1)基本理念
 「環境の恵沢の享受と継承」、「環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築」、「国際的協調による地球環境保全の積極的推進」を基本理念に揚げています。
(2)環境の保全に関する基本的施策
 主な施策は、次のとおりとなっています。

環境基本計画の策定
政府が定める環境の保全に関する基本的な計画です。現在の計画は2006(平成18)年に閣議決定された「第三次環境基本計画」です。
環境基準の設定
大気汚染、水質汚濁、土壌汚染および騒音に係わる環境上の条件について、人の健康の保護および生活環境の保全のうえで維持されることが望ましい基準であり、行政上の政策目標です。
環境影響評価の推進
環境アセスメント法制定につながりました。
環境の保全上の支障を防止するための規制
典型7公害の防止、土地利用の規制、自然環境の保全、野生生物種の保護、自然物の保護などのための規制措置を講じなければならないとしています。具体的には、個別法に展開されています。
地球環境保全に関する国際協力
地球環境保全に関して国際協力推進のために必要な措置を講じるよう努めるとしています。

 日本の場合、公害問題が先に起こり、その対応が終わった後、様々な環境問題が持ち上がりはじめ、法律を改正していった経緯があります。1992年の地球サミットのずっと前である1960〜1970年代に公害問題に関する法整備が行われています。

目次へ