<span style="font-weight:bold;">「共通だが差異のある責任」とは</span>

 改訂2版「eco検定テキスト」(東京商工会議所編著)からの引用。

 各国の二酸化炭素排出量を見ると、新興経済大国BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)やBRICsの次をねらう途上国の排出量が増加傾向にあります。特に、急速な経済成長をともなって、中国の排出量が急増しています。
 2007年の国別比率で見ると、ついに中国が米国を抜いてトップとなり、21.0%を占めています。米国は2位で、19.9%を占めています。2001年時点で、米国24%、中国13%であったのに比べると、世界の中で中国の排出量が急増しているのがわかります。
 日本の国別比率は、インドに次いで約4.3%を占めています(図表2ー36)。
 地球環境問題は、先進国が経済成長を果たした過程で発生してきた問題であり、先進国の環境保全への責任は重大です。途上国にも、経済成長を続け、豊かな生活を求める権利があります。自国の地域自然環境の保護を図りつつ、可能なかぎり資源・エネルギー消費効率の高い経済成長を図っていく必要があるでしょう。「共通だが差異のある責任」という概念が定着しつつあります。地球温暖化への責任は世界各国に共通しますが、今日の大気中の温室効果ガスの大部分は先進国が過去に排出したものであることから、先進国と途上国の責任に差異をつけることをうたった概念です。
 先進国はよりいっそうの省エネルギー技術や再生可能なエネルギーの開発を続け、途上国に技術供与していかなければなりません。また、森林破壊、砂漠化、野生生物種減少の対策には、先進国・途上国が協力し、人口・貧困対策も含めて総合的に取り組むことが必要です。

 先ほどの一次エネルギー消費比率では、2006年度でアメリカが1位で、中国が2位でした。二酸化炭素排出量になると、2007年度で中国が1位、アメリカが2位です。一次エネルギー消費比率でも中国がアメリカと入れ替わるのは、時間の問題だと思います。
 最近の国際会議で先進国と途上国の間でもめる理由がここにあります。「共通だが差異のある責任」は覚えておきましょう。

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