<span style="font-weight:bold;">IPCC第4次評価報告書が示す地球温暖化の影響</span>

 改訂2版「eco検定テキスト」(東京商工会議所編著)からの引用。

 2007年11月、IPCC第4次評価報告書統合報告書が発表され、地球温暖化の実態と将来の気候変化の予測について自然科学的根拠にもとづいて報告しています。
 温室効果ガスの増加と地球温暖化の因果関係については。「20世紀半ば以降に観測された世界平均気温の上昇は、その大部分が、人間活動による温室効果ガスの大気中濃度の増加によってもたらされた可能性が非常に高い(90%以上)」と結論づけています。

 IPCCは、世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)によって1988年に設立された国連の組織です。話題になったのが2007年なので、新しい機関かと思いきや設置されたのは比較的古い機関なのです。
 つまり、約20年をかけて、データを計測・分析し、第4次報告を出したのです。温室効果ガスの増加と地球温暖化の因果関係に関して自然科学的根拠に基づいて報告されています。結論は、90%以上の確率で「イエス」です。

(1)気候変化(温暖化)を裏づける観測結果
 下記の観測結果から、IPCC第4次評価報告書は「気候システムの温暖化には疑う余地はない」と結論づけています。
?過去100年に、世界平均気温が長期的に0.74℃(1906〜2005年)上昇。この気温上昇は北半球の高緯度で大きく、また陸域は海域と比べて早く温暖化している。
?世界平均海面水位は、熱膨張や氷河などの融解、局域の氷床融解より、1961年以降で年間1.8ミリ、1993年以降で年間3.1ミリ上昇した。20世紀の100年間で17センチ上昇。
?氷雪圏への影響として、氷河の後退、永久凍土の融解、海氷や積雪の融解が進んでいる。キリマンジャロでは、氷河と積雪面積が後退しているのは明らかで、2015〜2020年の間には消失する可能性が高い。
?水循環への影響として、氷河や雪解け水が注ぐ多くの河川で、流量増加と流量ピークの早期化が見られ、湖沼や河川の水温上昇と、水の循環や水質への影響が生じている。
?1978年以降の衛生データによると、北極の年平均海氷範囲(面積)は、10年あたり2.7%減少した。特に夏季においては、10年間あたりで7.4%と、より大きな減少傾向にある。
?生物生態系への影響が世界各地で見られ、新緑や鳥の渡り・産卵などの春季現象の早期化、生息域の極地・高地への移動、生息数の変化などが報告されている。

 100年で0.74℃ぐらいは覚えておきましょう。後は、だいたいの内容を頭の中に入れておけばいいと思います。

(2)今後、予測される気候変化とその影響
 今後の気候変化とその影響を予測するために、図表2ー25の6区分も排出シナリオを設定しています。
 各予測シナリオのいずれにおいても、今後20年間で0.4℃の気温上昇が起こり、それ以降の温度上昇については、各予測シナリオの影響が強まると予測しています。もっとも気温上昇の低いと予測される「B1シナリオ」で1.8℃、もっとも温度上昇が高いと予測される「A1F1シナリオ」で4.0℃(可能性として最大で6.4℃)と報告しています。
 気温上昇による主な影響を図表2ー26示します。に

 図表2ー25のポイントは、上に行くほど経済発展重視のシナリオで、下の方が環境と経済の調和を目指したシナリオだということです。
 一番気温上昇が低いとされているB1シナリオが持続的発展型社会で、環境問題でよくでてくる持続可能な社会がこれにあたります。
 一番低いシナリオでも温度上昇はさけられないことと、4℃以上あがると取り返しのつかない状況になる可能性があることを覚えておきましょう。

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