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<span style="font-weight:bold;">土壌汚染とその対策</span>

eco検定

 改訂2版「eco検定テキスト」(東京商工会議所編著)からの引用。

 土壌汚染の特徴は、水や大気と比べて移動性が低く土壌中の化学物質も拡散・希釈されにくいことから、いったん汚染されると長期にわたり汚染状態が継続し、放置すれば人の健康に影響を及ぼし続ける汚染である一方、通常、その範囲は局所的であることなどがあげられます。
 しかし、汚染物質が土壌を汚染するのみならず、汚染物質が浸透し地下水まで汚染することがあり、汚染の範囲が広がります。このため、汚染物質の土壌への排出を規制する未然防止対策が重要となります。p.48

 他の汚染と比べて汚染地域が比較的狭い範疇に収まるのが、土壌汚染の特徴のひとつです。ここに書かれているように、拡散しにくいということは、逆の意味ではその場所に居座っている状況が長く続くということになり、長期的に影響を及ぼす可能性が高いといえます。
 日本初の公害問題である足尾銅山鉱毒事件でも、汚染された土地を遊水池として、長期にわたり隔離する方法がとられています。

 土壌汚染は、比較的古くから発生していたものと考えられますが、局所的に発生すること、外観からは発見が困難であること、明らかな健康被害は生じさせにくいことなどから、これまで明らかになることは少ない状況でした。
 しかし、近年、工場跡地の再開発・売却の増加環境管理の一環として自主的な汚染調査を行う事業者の増加などにともない、土壌汚染事例の判明件数が増加しています。事例を汚染物質別に見ると、鉛、六価クロムなどの重金属に加え、金属の脱脂洗浄や溶剤として使われるトリクロロエチレンテトラクロロエチレンによる事例が多く見られます。p.48-49

 図表2ー16を見てください。平成元年からの判明件数は、増加の一途をたどっています。だからといって昔はなかったというのではなく、判明できるだけの技術が開発された結果、今までわからなかったものが見つかったということみたいです。ここに書かれているトリクロロエチレンテトラクロロエチレンは、ドライクリーニング用の洗剤として一般的にクリーニング屋で使用されていたほか、半導体や電子機器の洗浄剤としても使用されていました。従って、これらの工場や事業所跡地などで、土壌汚染が見つかるケースが見られます。ちなみに、トリは、3つの、テトラは4つのを意味します。また、クロロは塩素を意味します。従って、トリクロロエチレンとは、3つの塩素がついたエチレンという意味です。
 築地市場の移転先として決められた豊洲近辺の土壌から環境基準を超えたベンゼンなどの有機溶剤が見つかったのを覚えているでしょうか。あの土地は、東京ガスの工場跡地で、それらの有機溶剤が使用されていたそうです。一度それらの有機溶剤が土壌に入り込んでしまうと、なかなか抜けきらないようです。ちなみに、東京ガスは、それらの溶剤を使用していたことを都にちゃんと報告しています。

 土壌汚染事例の判明件数が増加しつつあるなかで、土壌汚染対策に関する法制度がないことから、土壌汚染による人の健康被害の防止対策の確立が必要であるとの社会的要請の高まりをふまえ、「土壌汚染対策法」が2002(平成14)年に制定され、翌年施工されました。
 土壌汚染対策法では、有害物質使用施設が廃止された土地や一定面積以上の土地の形質変更を行う場合などに、土壌汚染調査が義務づけられています。調査の結果、土壌中に基準を越える特定有害物質が検出された土地について、都道府県知事は要措置区域として指定・公示し、土地の所有者等に汚染の除去命令を出して、土地の浄化を進める仕組みです。
 なお、ダイオキシン類による土壌汚染については、ダイオキシン類対策特別措置法により土壌汚染対策が実施されています。

 他の公害対策法がほとんど公害が社会問題となった1970年前後に制定されているのに対し、汚染が判明しにくかった土壌汚染にかんする対策法は、比較的近年、21世紀に入ってから制定、施工されました。
 制定は、立法機関が法令を定めること。施工は、制定された法律が運用される始めることです。従って、制定と施工の間には、期間があるのが普通です。通常は半年から1年程度ですが、最近あった凶悪事件の時効取り消しでは、例外的に制定と施工が同時に実施されました。
 土壌汚染対策法では、有害物質の使用をやめたとき、つまり工場などをやめ、土地を他の用途に利用したり、売却する際に、土壌調査を行い、報告することが義務づけられています。また、汚染の除去命令は、国ではなく、都道府県知事に委ねられています。ここは、憶えておいてください。
 また、一時期さわぎとなったダイオキシン類に関しては別の法律、ダイオキシン類対策特別措置法で管理されています。
 このほか、農業用地は、農用地土壌汚染防止法で管理されています。この法律は、他の汚染防止法とほぼ同時期、1970年に制定されています。
 土壌汚染対策法は、他の汚染防止法に比べ、制定が新しいことと、ダイオキシン類と農用地は別法で管理されていることを頭に入れておきましょう。

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