<span style="font-weight:bold;">森林の役割</span>

 改訂2版「eco検定テキスト」(東京商工会議所編著)からの引用。

  1. 光合成により二酸化炭素を吸収し、酸素を作り出す。
  2. 地上動物の生存・成長のために良好な環境を与える。
  3. 水を蓄え、土の流出を防ぐ。
  4. 木材資源を供給し、住宅や家具、紙の材料、燃料(バイオ燃料)となる。

p.32

 森林を構成する緑色植物は、炭素を骨格とした有機物で構成されています(リグニンやセルロースなど)。この炭素を骨格とした有機物は、大気中の二酸化炭素を植物が吸収し、太陽エネルギーを利用して植物自身が作り出します。そして、二酸化炭素の代わりに酸素を放出します。この過程は光合成として知られています。光合成は、複雑な工程を経て、おこなわれるため、まだ人工的に再現されていません。従って、現時点では、植物のみが合成できるシステムです。
 体にいったん取り入れた二酸化炭素は、植物の体に取り込まれ固定化されます。従って、森林や二酸化炭素を固定する場所としても重要視されています。
 また、樹木によって張り巡らされた根はしっかりと大地を支え、厚い落葉に覆われた土壌には雨水が蓄えられ、「緑のダム」とも呼ばれています。この働きで、肥沃な土壌の流出を防ぎ、洪水や土砂崩れなどの災害を防止し、わたしたちに大切な水を供給します。
 地球上の森林は、国連食糧農業機関の調査によれば、陸地面積の約30%、約3900万キロ平方メートルとなっています。
 我が国は、国土面積の66%が森林に覆われた世界でも有数の森林国です。国土が南北に3000キロメートルにも広がり寒暖の差が大きい我が国には、亜熱帯気候の琉球列島には木性シダなど熱帯性の植物を含む常緑広葉樹の森が、温暖な九州から西日本にかけてはシイやタブなどの常緑広葉樹の森、照葉樹林が、東日本から北海道南部にかけてはブナなどに代表される落葉広葉樹林が見られます。亜寒帯気候の北海道の大部分と本州の高山地帯には、エゾマツなどの針葉樹を主とする森林が生育しています。広葉樹といえば、落ち葉を連想してしまいますが、一年中緑を維持する常緑広葉樹というのもあることを憶えておきましょう。

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