<span style="font-weight:bold;">土壌の役割</span>

 改訂2版「eco検定テキスト」(東京商工会議所編著)からの引用。

 土壌の役割は、まず植物に根を張らせ、水分と養分を吸収させ、また土壌の中に棲む動物や微生物の生存を支えることです。その他、土壌の役割をまとめると、次のようになります。

  1. 根を張らせ、食料となる農作物や木材資源となる樹木の成長を支える。
  2. さまざまな物質を分解し、植物の養分を供給する。
  3. 水を浄化し、水を蓄える。
  4. 粘土として陶磁器の材料、土木・建築物の土台や基礎材料となる。

 1・2は、多様な生物の生存・生育環境を提供する役割です。特に2の役割は、生態系を支えるもので重要です。動物の死骸や枯れ葉などは、土の中に生息する生物(土壌生物)の働きで、植物の生長に必要な窒素リンカリウムなどの無機物に分解されます。再び植物が成長し、生物間の食物連鎖が継続していくうえで、とても大切な機能です。
 3は、2の土壌生物の働きなどで、雨水や汚水が浄化され、安全でおいしい水を供給してくれる役割です。また、土壌生物が活動する土壌はふわふわで柔らかく、雨水を地下に浸透させ地下水資源をかんようし、干害や洪水などの自然災害を緩和する役割をもっています。p.30

 土は、岩石が風化して細かくなった無機質のものです。土壌は、土を母材として、生物の働きで作られた有機物が多く含まれ、植物の生育基盤であり、さまざまな土壌生物も活動しています。
 窒素、リン、カリウムは、肥料の3要素と呼ばれます。植物の生長に欠かせない栄養素です。窒素は、葉や茎の成長を促します。リンは、花や実の成長を助け、花数を増やし実を豊かにします。カリウムは、根や球根の成長を促進し、植物全体の生理作用を調整し、病気に対する抵抗力を強化する働きがあります。
 ちなみに、骨の主成分のカルシウムとカリウムは別の物質です。名前が近いので間違えないようにしてください。
 無機物は、基本的に炭素を含まない化合物をいいます。ただし、二酸化炭素のように、炭素を含んでも単純な化合物(二酸化炭素や一酸化炭素など)は無機物に含みます。無機物は、地球誕生から存在していて、太陽エネルギーなどの自然の作用により、無機物から有機物が発生したと考えられています。
 これに対して、有機物は炭素を土台として、酸素、水素などを含む複雑な化合物で、タンパク質、脂肪、炭水化物、アミノ酸などがあります。
 地球誕生の初期は、二酸化炭素や窒素、水などの無機物のみで、有機物は存在しませんでしたが、太陽エネルギーなどの作用により有機物が生成されました。そして、海の中に溶け込んでいた有機物から、最初の生物が誕生したと考えられています。

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