生命の誕生と光合成活動

 改訂2版「eco検定テキスト」(東京商工会議所編著)からの引用。

 地球に生命が誕生したのは40〜38億年前、海中のアミノ酸が化学変化して原始バクテリアが誕生し、ここから生物の進化の長い歴史が始まったと考えられています。27億年前になるとラン藻による光合成が活発化し、二酸化炭素が消費され大量の酸素が海水中に供給されるようになりました。酸素はそれまで無酸素下で生きてきた生物にとって有害で、多くの生物が絶滅する一方、酸素呼吸を行うよう進化した生物が繁栄していきました。また、酸素は海水中の鉄分と反応し、海底に大量の鉄を沈殿・堆積させました(現在の鉄鉱床)。大気中に酸素の放出が始まったのは、鉄の沈殿が終わった20億年前ごろといわれています。
 一方、大気中の二酸化炭素は、海水中に大量に溶けこみ、海水成分との化学反応や生物の遺骸となって海底に沈殿し、大量の石灰岩が形成され、大気中の二酸化炭素濃度も減少していったと考えられています。(p.24-25)

 アミノ酸とは、炭素、酸素、水素、窒素からなる物質です。スポーツ飲料や味の素などの化学調味料として有名だと思います。このアミノ酸から最初の生物が誕生したと推測されています。しかし残念ながら、実験的にそれを確かめた人は今だにいません。
 ただ、原子地球時に想定されている環境(高温度、高圧力)下で、アミノ酸が簡単に生成されることは確かめられています。しかし、その先はまだ推測の域を脱していません。
 最初の生物、原子バクテリアが誕生した時は、当然酸素はありませんでしたから、酸素呼吸以外の方法でエネルギーを吸収していたことになります。
 27億年前になるとラン藻によって光合成が行われ、大量の酸素が形成されます。光合成は、二酸化炭素と太陽光から酸素を作り出す方法で、植物のみ、作り出すことができます。
 ラン藻は、海に存在していましたから、酸素はほとんど海中に放出されたと推定されます。当初発生した酸素は、水中に分散していた鉄成分を酸化して、酸化鉄に変え、海底へ鉄成分として沈殿させるのに使用されていました。
 鉄の酸化がほぼ終了した頃(20億年前頃)、酸素が大気中に放出され始めます。
 石灰岩は、炭酸カルシウムが主成分です。また、カルシウムは、動物の骨の主成分です。従って、カルシウムと炭酸を含む石灰岩が形成されるには、生物の遺骸と二酸化炭素が必要になります。ここでも、生物が作り出した酸素の強い酸化力が利用されています。

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