時間とお金の関係

 クリス・アンダーソン著「フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略」(NHK出版)からの引用。 

 フリーミアム経済その大部分がこの時間とお金の関係に基づいている。
 子供のときは、お金よりも時間を多く持っているだろう。だから、手間がかかっても無料のMP3ファイルの交換をするしかない。かつてスティーブン・ジョブスは次のように指摘した。P2Pのサービスで音楽をダウンロードすれば、問題のあるファイルフォーマットを扱うことになりやすい。アルバム情報がなかったり、目当てでない歌がダウンロードされたり、音質が悪かったりする可能性がある。お金を払わないために時間をかけることは、「最低賃金以下で働いていること」を意味するのだ、と。それでも、時間がたくさんあってお金がなければ、それは合理的行動になる。そういう人にとってタダは正当な価格なのだ。
 だが、年をとって時間とお金の関係が逆になると、正規のダウンロードにかかる99セントはたいした金額に思えなくなる。そうすると、フリーミアムの世界において、お金を払う顧客になるのだ。

 これって、確かにあると思う。子供の頃は、お金がなくて、友達同士でレコードや本、そして週刊マンガ誌などを貸し借りして情報を得ていた。
 今みたいにインターネットがあるわけではないので、情報源は限られていたが、図書館を利用するなど、それなりに工夫していたものだ。そういえば、床屋やスーパーマーケットの休憩室など無料でマンガや本が読めるところは、子供にとって天国だった気がする。
 人間お金がないときの方が、いろいろと工夫をするということなのか?
 話がそれるが、札幌オリンピックのとき、アイスホッケーを初めて見て感動し、どうしてもやってみたい、いやまねて遊びたいと思った。
 スケートの代わりは、持っていたローラースケートで代用できるからよしとして、パックとスティックをどうするか? 考えた末に、スーパーに隣接していた日曜大工の店のおじさんに相談してみることにした。余った木くずで作れないかと考えたのである。
 相談してみると、おじさんも初めてアイスホッケーを見たらしく、話にすぐのってきてくれて、すぐに余った木くずでスティックとパックのコア部分を作ってくれた。
 それを使ってまねてみると、どうもパックの動きがリアルでない。そこで、ビニールテープを買ってきて、木のパックに巻き付けていった。そうして、リアルに動き、耐久性があるパックができあがった。
 ここまでか買った費用は、ビニールテープ代のみだ。もちろん、おじさんに感謝して、おじさんの目の前でアイスホッケーのまねごとを見せたのはいうまでもない。
 お金が無く、時間がたくさんある子供にとってタダであることは必然で、それを工夫して生み出すこと自体が遊びだった。