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赤黒い雲

覚書

 石田衣良著「池袋ウエストゲートパーク? ワルツ・フォー・ベビー」からの引用。

 おれはうちの果物屋の店番を終えると、CDウォークマンをウエストバックにいれて通りにおりた。別に誰かいい人と待ちあわせがあるわけではない。息が白く伸びて、風は氷水のような十二月の夜、しっかりと厚着をして散歩するのがおれは好きなのだ。信号や自動車のテールライトが奇妙に澄んで、ぼんやりと明るい夜空を地上のネオンを映す赤黒い雲がゆっくり動いていく。

 もともと形容詞の多い文章があまり好きではない。そのため、どうしても単調な文章スタイルの作家ばかり読む癖がある。
 しかし、たまに石田衣良のように形容の仕方がおもしろい作家にぶつかると、逆にのめり込んでしまうことがある。
 上記引用の「息が白く伸びて、風は氷水のような十二月の夜」や「信号や自動車のテールライトが奇妙に澄んで、ぼんやりと明るい夜空」、そして「地上のネオンを映す赤黒い雲」などは心に残る表現だと思う。
 あなたは、師走の繁華街で空を見上げたことがあるだろうか?赤黒い雲を見たことがあるだろうか? たまには、そうゆうゆとりを持ってみるのもいいかもしれない。