一昨日の衆議院選挙で、自民党が議席数を約1/3に減し、惨敗した。結果的に、民主党が議席数を大幅に増やし、政権交代が実現する。

 外国メディアが伝えていたとおり、自民党に対して国民がノーと言ったのであって、好きこのんで民主党を選んだのではないと思う。実際、自分もそう思っている。

 今の自民党の政治では、日本がどんどん疲弊していき、先進国の仲間からはずされてしまうのではないかという危機感が、ほとんどの国民の間に浸透してしまった。それほど、今回の不況の影響は、国民にとって大きいものになっているということだと思う。そして、それに自民党は全く気づかないか、気づかないふりをしている。もういい加減にしてくれというのが、大部分の国民が感じていることではないだろうか。

 構造改革の影響をもろに受けた建築業界、減反政策ばかり続き、個人経営で農業を維持することが難しい世の中を作られてしまった農家の方々など今まで自民党を支えてくれていた人たちが、みなそっぽを向いてしまった。

 小泉政権から始まったグローバル社会への対応が、多くの国民の生活にダメージをじわじわと与え、体力が弱っているところにリーマンショックによる不況が訪れ、今構築されようとしている社会の脆さを肌に感じることができた後の選挙だからこそ、このようなことが起こったのかも知れない。外国で起こった出来事が、ここまで日本に深刻な影響を与えてしまう社会がほんとうに良い社会なのだろうかと疑問を抱いた人もいたのではないだろうか。

 環境問題を扱っていると、大量生産大量消費の時代はもう維持できないことが見えてくる。従って、グローバル社会だといって世界に市場を広げても行き着く先は決まっている。究極的にいえば、パン屋さんは世界に一つ。牛乳屋さんも世界にひとつ。そんな社会が実現されれば、企業の成長は止まってしまう。地球を維持していくためには、現状の人口を維持することは難しい。それほど人間の数が増えすぎているのだ。しかし、発展途上国の環境が良くなり、寿命が延びるようになれば、先進国と同じように、人口も落ち着き、高齢社会へと向かっていくだろう。そうすれば、人口問題は自ずと解決されていく。

 そんな未来社会を考えた場合、右肩上がりの経済成長は望めない。日本が本当に進むべき方向を、民主党だけに依存するのではなく、国民一人一人が知恵を出し合って、真剣に考えるべきだと思う。

 残念だが、現状の政治家の人たちの能力では、この問題を解決できないと思う。今回初めて当選された新しい政治家の方々の中から新しいリーダーが生まれてくれれば、うれしいし、そうでなくても、新たなリーダーが国民の中から生まれてくれればいいと思っている。