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「ねにもつタイプ」のおもしろさ

覚書

 三浦しをん著「ビロウな話で恐縮です日記」(太田出版)からの引用。

 岸本佐知子さんの「ねにもつタイプ」(筑摩書房)を読む。電車のなかで読む。危険だ。「ぐっふっふっふ」と笑っていて、気づくと周囲の座席ががら空きになっていた。
 アイヤ待たれい! 俺を危険人物扱いするのは、この本を読んでからにしてくれたまえ、絶対「ぐっふっふっふ」となるから! 私は実のところ、「ぐっふっふっふ」で終わらず、電車内にもかかわらず「ぶふぁはは(ハッしまった電車内、ちょっと抑制が働いて)ニヤァ」となった。「変質者が読む本なのねえ」と思われないことを願う。

と、いうくらいおもしろ本だった。
 三浦さんも触れていらっしゃるが、記憶力について考えさせられる本でもある。幼少の頃、小学生や中学生の頃の記憶ははたしてどのくらいの正確さでたどることができるのだろうか?
 現実と想像の世界が重なることが多い、子供の頃の思い出と想像の世界を組み合わせた文章は見事だった。
 ところで、これには後日談がある。昨日、帰りの電車の中で「ビロウな話で恐縮です日記」を読んでいた。この本も危険だった。「ぐっふっふっふ」を通り越して、「ぶふぁはは」と笑ってしまい、照れ隠しに「ニヤァ」となってしまった。隣に立っている20歳代の女性が合間を広げようと立ち去る影が目に入る。他の人の視線も感じつつ、「アイヤ待たれい! 俺を危険人物扱いするのは、この本を読んでからにしてくれたまえ!」と心の中で訴えていたのだが、周りから一人去り、二人去りと人影が離れていくのを止めることは、もはやかなわない状況になってしまった。敵はここにもいたのだ。