インパクトではヘッドスピードが3割減少

 八木一正著「小娘たちに飛距離で負けないための授業―物理の力で宮里藍を抜け!HS40で250ヤード打法 (ゴルフダイジェスト新書)」から引用。

 プロは「フォローで打て」とか、「インパクト後にビュンと加速しろ!」と言いますが、本当でしょうか。もちろん、素振りでは可能でしょう。しかし、実際にボールを打った場合、インパクトではボールに相当なエネルギーを奪われるので、ヘッドは減速こそすれ加速はしないはずです。
 人は自分がそうしていると思っていることと実際との間に、かなり差があるものです。特にプロのようにヘッドスピードの速いスウィングでは、その種の感覚的な誤差が生じやすいものです。(中略)
 ストロボ撮影によるプロの分解写真で調べると、プロでも3割程度の減少が見られるからです。
 とにかく、インパクト後は加速しないで、むしろ急に減速するというのは事実なのです。また、フォローでも、分解写真を見る限り、インパクト直後の速度以上にはなりません。

 他人よりも非力なせいなのか、この疑問は普段から頭の片隅にあった。練習場などで、特にドライバーやウッドでボールを打ったとき、明らかにインパクト時に衝撃があり、その後に加速しているとは到底思えなかったのだ。また、そもそもインパクトが最速になっている必要はあっても、インパクト後に加速する必要がどこにあるのだろうか?
 確かに、アイアンなどでは、インパクト前後の速度の違いを感じにくい。ウッドのように遠くに飛ばすクラブの方がインパクト後の減速を感じやすい。ボールに与えるエネルギーが大きい方がその差は歴然と感じられるのだろう。
 プロの場合、わたしたちよりもヘッドスピードが10m/s以上違うのだから、プロがドライバーを打ったときの間隔は、我々がショートアイアンを打ったときの間隔と同じ感覚なのかもしれない。