紙の消費

 フリードリヒ・シュミット=グレーク編「エコリックサック」からの引用。

 紙の消費はここ数十年間、世界中で急増した。1961年には7700万トンを下回っていたのが、1997年にはほぼ3億1000万トンに到達した。世界の紙需要は、36年間でほぼ300%上昇したのである。最も増えたのは包装紙と印刷用紙である。
 増えたのは紙の消費だけではない。木材消費も急伸した。1991年から1999年までに、紙のリサイクル率が650%というみごとな成長を示したにもかかわらずである。木材消費の増加はリサイクルによって軽減されている。しかし実は、紙の需要は森林破壊の最大の原因ではないのだ。ちなみに世界中で伐採した木材のうち、製紙にまわるのは現在のところ13〜19%にすぎない。紙はあまりよくない木材、何かに使用した残りの木材、再生繊維から作られることが多い。森林消失のおもな原因はむき出しの大地に変わったことによるもので、その54%が森林火災や薪の生産に帰因する。

 日本製紙連合会のホームページで調べてみると、2005年の生産量が載っていて、約3.7億トンが世界で生産されているらしい。消費国トップは、アメリカで約8200万トン、ついで中国が続き5600万トン、3位が日本で約3000万トンとなっている。
 コピー機やパソコンの普及により逆に紙の消費が上昇しているようだ。また、手間暇がかかっていた郵便物の手配なども印刷技術の向上とともに効率が向上し、ダイレクトメールや広告チラシなどすぐに捨てられてしまう用途に紙が多く消費されているのが実状のようだ。
 紙の消費が、森林破壊の原因に大きく寄与していないのがせめてもの救いなのかもしれない。