MIPSとMI

フリードリヒ・シュミット=ブレーク著「エコリュックサック―環境負価を示すもう一つの「重さ」」からの引用。この部分はプロローグを執筆した佐々木建氏が書いた文章である。

MIPS(サービス単位当たり物質集約度、Material Intensity per Service)
製品のライフサイクル全体にわたるサービス単位当たりの物質集約度。あるいは、サービス単位や機能単位当たりの、トータルな物質消費量。例えば洗濯機の場合、洗濯機を作る原料の採取、移動、製造のための工場建物とそこで使うエネルギー、製品の輸送、販売、それから使用、そしてリサイクル、さらに廃棄に至までに消費する物質をすべて足して、洗濯機を一回使用するごとに、それをどれだけ消費しているかを計算する。物質消費を全部足して、使用回数で割る。企業活動の環境パフォーマンス、製品やサービスの環境負荷の比較が簡単にでき、意志決定に役立つ、MIPSは、利用することによって便益が生まれる製品に適用されるコンセプトである。従って、中間財や生産財には適用できない。


MI(物質集約度、Material Intensity)
MIPS計算の基礎になるのがMI。その製品とサービスを実現するために動かされる天然資源を、キログラム単位で総計する。天然資源を採取して、製品や建物やインフラの原料を調達することから始まり、生産、販売、利用、廃棄にいたるまでの投入量の総計。MIは、製品の目に見えない負荷を測定する。製品が利用される時、製品に投入された自然が、各単位ごとの便益に対してどれほど使われているかを示すのがMIPSであるが、使い捨て製品の場合は、使い手の便益は一回限りなので、MIPS=MIとなる。何度でも使える製品の場合は、もともとの製品のMIを回数分で割った数字がMIPSに影響するのでゼロに近づくが、利用する際に生じる資源消費量によって大きく左右される。
基本原料のMIは、天然資源の地質、輸送条件、技術工程、加工法によって決まる。そのためMIは時間の経過とともに変動するので、定期的に点検しなければならない。計算を簡単にするために、MI係数やリュックサック係数が利用できるようになっている。
MIは、以下の五つに分類される。
生物原料:経済活動によって作り出される植物性バイオマス、経済活動がで生まれるバイオマス(植物、動物など)
非生物(再生不可能)原料:鉱物原料、化石燃料、価値のない粗鉱(廃石など)、採掘により発生した土砂
農林業における土壌移動:機械耕作、侵食
:表面水、深層水(加工水と冷却水により異なる)
空気:燃焼、化学変化、物理変化(凝集状態)