分子

 E.シュレーディンガー著「生命とは何か―物理的にみた生細胞 (岩波新書 青版)」からの要約。

 原子の種類と数とが与えられたとき、その系の不連続な一組の状態の中に、最低のエネルギー準位というものが必ずあるとは限らないが、ある場合もあるだろう。それは原子核がお互いに密接に近づきあった状態を意味する。そのような状態にあるいくつかの原子は一つの分子を形づくっている。分子は必ずある安定性をもっているべきもの。すなわち、少なくとも、それを次の高い準位にまで「引き上げる」のに必要なエネルギーの差額が外部から供給されない限り、その配列状態は代わり得ないのである。したがって、この準位差は、その分子の安定性の度合いを定量的に決定するものである。