突然変異は稀な出来事でなければならない
E.シュレーディンガー著「生命とは何か―物理的にみた生細胞 (岩波新書 青版)」からの要約。
突然変異が、自然淘汰を営む要素として適切なものであるためには、それは希にしか起こらない出来事でなければならない。もしも突然変異がしばしば起こるものであって、同一の個体に異なる突然変異がたとえば10以上も起こる確立がかなり大きいとしたなら、普通、有害な突然変異が有利なものを凌駕してしまい、その結果、種は淘汰により改良されはしないで、不変のままで残るか、あるいは滅びてしまう。
突然変異をGoogleで検索すると、突然変異には遺伝子突然変異と染色体突然変異、そして人為突然変異とがあることが、各サイトに記載されている。このうち、進化につながる突然変異は、遺伝子突然変異らしい。
Wikipediaによると、遺伝子突然変異の多くは、サイレント変異と呼ばれる遺伝子機能に関係しない変異だという。体細胞に突然変異が起こるとガンや種々の奇形などの原因になることがあるらしいが、この突然変異は子孫に受け継がれない。
現在の進化論入門によると、突然変異は、シュレーディンガーが書いているように、非常に希にしか起こらないらしい。起こったとしてもそのほとんどがサイレント変異らしく、進化を伴う有利な突然変異は、限りなくゼロに近い確立しか起きないらしい。従って、今の進化論では、有利な突然変異がもとで進化するという考え方はあまり採用されていないらしい。
前回までのE.シュレーディンガー著「生命とは何か―物理的にみた生細胞 (岩波新書 青版)」からの要約
- E.シュレーディンガー著「生命とは何か―物理的にみた生細胞
- 統計物理学からみて、生物と無生物とは構造が根本的に異なっている
- 原子はなぜそんなに小さいのか?
- 生物体の働きには正確な物理法則が要る
- 物理法則は原子に関する統計に基づくものであり、近似的なものにすぎない
- 法則の精度は、多数の原子の参与していることがもとになっている
- 第二の例(ブラウン運動、拡散)
- 測定の精度の限界
- 分子数の平方根の法則
- 古典物理学者の予想は、決して詰まらぬものとは言い捨てられないが、誤っている
- 遺伝の暗号文(染色体)
- 生物体は細胞分裂(有糸分裂)で成長する
- 有糸分裂では、すべての染色体がそれぞれ二つになる
- 減数分裂と受精(接合)
- 遺伝子の大きさの限界
- 遺伝子の永続性
- 突然変異種は育種可能である、すなわちそれは完全に遺伝する
- 遺伝子の座、劣性と優性