減数分裂と受精(接合)

E.シュレーディンガー著「生命とは何か―物理的にみた生細胞 (岩波新書 青版)」からの要約。

 個体の成長がはじまるとすぐに、一群の細胞が、後になって配偶子をつくりだすために別にしておかれる。その配偶子は、場合によって精子だったりあるいは卵細胞だったりするが、成熟してから個体が増殖するのに必要な物だ。「別におかれる」という意味は、成熟するまでの間は他の目的に使われないで、有糸分裂をする回数もずっと少ないということ。
 減数分裂というのは、成熟してから最後に、これとは別におかれた細胞から配偶子がつくりだされる際の分裂であって、普通、配偶子がつくられてからまもなく受精(接合)が行われるようになっている。減数分裂の場合には、親細胞の二揃いの染色体の組は一揃いずづの二組に分かれるだけで、その一組ずづが二つの娘細胞すなわち配偶子のおのおのに移る。配偶子は半数だけの染色体を受け取る。

 タイトルの接合は、syngamy という単語を訳しているもの。化学・英和辞書をひくと、「配偶子接合」と訳されている。確かにただ接合と書かれてしまうと味気なく感じてしまうのはわたしだけだろうか。受精イコール接合であることは間違いないが・・・。
 ちょっと読みにくい要約になっているが、更に要約すると、

  • 配偶子の元になる細胞は、個体が成長しはじめるとすぐに、他の細胞と違うところに置かれる。
  • 配偶子とは、精子もしくは卵細胞。
  • 配偶子の元になる細胞は、他の細胞よりも有糸分裂回数がずっと少ない。
  • 減数分裂は、個体が成熟してから最後に、配偶子の元になる細胞で起きる。
  • 受精は、減数分裂により配偶子が作り出されるとまもなく行われる。
  • 減数分裂では、親細胞の二揃いの染色体のうち片方のみが娘細胞におのおの移る。
  • 従って、配偶子は半数だけの染色体を受け取る。

となる。少しはわかりやすくなったであろうか。英語版の本書を入手したのだが確かに訳しにくい文章になっており、訳者の苦労がわかるような気がした。


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