有糸分裂では、すべての染色体がそれぞれ二つになる

E.シュレーディンガー著「生命とは何か―物理的にみた生細胞 (岩波新書 青版)」からの要約。

 分裂してできた二つの「娘細胞」のどちらも、親細胞の染色体とまったく同様な二揃いの染色体を完全に持参している。したがって、全ての体細胞は、その染色体という財産に関しては互いにまったく同じである。
 個々の各細胞が暗号文の完全な写しを持っているということは、生物体の働きと何か密接な関連があるに違いないと考えざるを得ない。

 Wikipediaによると、染色体は、1842年にカール・ネーゲリによって発見されたそうである。染色体と命名したのは、ヴァルデヤーで1888年のことだった。染色体が遺伝子の担体であるとする染色体説は、ウォルター・S・サットンにより、1902年に提唱され、1920年代までに実証されたとある。
 この本が書かれたのは1940年代だから、20年ほど前に確立した理論ということになる。今日、20年前というとかなり昔のことに思えるかもしれないが、当時の時間スケールを考えると最新の科学といったところだったのではないだろうか。今のようにインターネットなど無かったし、テレビすらそれほど普及している時代ではなかったと思う。

 前回までのE.シュレーディンガー著「生命とは何か―物理的にみた生細胞 (岩波新書 青版)」からの要約