エルヴィン・シュレーディンガー著「生命とは何か」(岩波新書)

 ジェームス・D・ワトソン、アンドリュー・ベリー著「DNA (上)―二重らせんの発見からヒトゲノム計画まで (ブルーバックス)」の中で、著者ワトソンが、エルヴィン・シュレーディンガー著「生命とは何か」がきっかけで、生物学の世界に入ったという記述があった。また、多くの物理学者がこの本を機に生物学に興味を抱き、転向したとの記載もあったような気がする。そんなわけで、いつかは「生命とは何か」を読んでみようと思い、書店に行くたびに岩波新書コーナーを探したが、見つからなかった。そこで、岩波書店のホームページで検索し、状況を確認したところ、「品切れ重版未定」の文字。多くの学者に影響を与えた名著をなぜ重版しないのかよくわからない。
 次に、アマゾンで検索してみた。その結果がこれ。当然の事ながら、新品は在庫なし。古本が3,500円からとある。ユーズド商品リストを見ると、3,500円から12,600円まであり、かなりのプレミアが付いている状況だった。ちなみに、英語版である「What is Life?: With Mind and Matter and Autobiographical Sketches (Canto)」はペーパーバック版で2,461円で、日本語版よりも安い。
 そこで、今度は図書館に在庫があるか調べてみた。台東区立図書館のホームページで検索してみると、在庫はあるが、貸し出し中とのこと。約2週間後に再度検索してみると返却されていて、早速その日に借りてきた。図書館にあったのは、1977年12月10日発行の第32版。価格は280円。
 アマゾンのユーズド品の価格と比べると、一番安いやつでも12.5倍。コレクター用という一番高いタイプだと45倍もの値段になっていることになる。
 出版社も商売ということなのだろうが、世界的な名著の日本語訳を品切れさせておく出版社の態度はどうなのだろうか。版権を持っているのだから、しっかり重版してほしい。