複利計算からeへ

 E.オマール著「不思議な数eの物語」より引用。複利計算の総額を表す式がS=P(1+r)^tであることを昨日引用した。今日はその続きである。

 1年に1度でなく数回利子加算をする銀行もある。例えば、年利5パーセントで半年ごとの複利のときには、銀行は年利の半分を期間ごとの年率として使用する。したがって、100ドルの元本には1年に2回、1回に2.5パーセントの割合で複利が付く;1年後の元利合計は100\times1.025^2=105.0625ドルとなって、同じ元本を年利5パーセントで1年ごとの複利で預けたときより約6セント多くなる。
 銀行業界にはあらゆる種類の複利の型(年ごと、半年ごと、1/4年ごと、さらには日ごと等)がある。年にn回の複利計算をするとする。”利子繰入期間”ごとに銀行では年利をnで割ったr/nを使う。t年間に繰入期間はntあるから元本Pはt年後に
S=P(1+r/n)^{nt}
となる。(中略)
 この問題をさらによく調べるため、上記式の特別な場合(r=1の場合)を考えよう。これは年利が100パーセントを意味し、どの銀行もそんな寛大な申し出はしないであろう。しかし、考えていることは現実のことではなく仮の話しであるが、数学的には大きな結果をもたらす。議論を簡単にするため、P=1ドル、t=1年とする。すると上記式は、
S=(1+1/n)^n
となる。我々の目的はnの値を大きくしたときのこの式の振る舞いを調べることである。結果を表に示す。

n (1+1/n)^n
1 2
2 2.25
3 2.37037
4 2.44141
5 2.48832
10 2.59374
100 2.70481
1,000 2.71692
10,000 2.71815
100,000 2.71827
1,000,000 2.71828
10.000.000 2.71828

 nがもっと大きくしても結果はほとんど影響がないように見える。
 しかしこのパターンが続くだろうか?nがどんなに大きくても、(1+1/n)^nの値が数2.71828の付近に落ち着くことは可能だろうか?もちろん面白そうなこの可能性は注意深い数学的解析により確かめられる。nが無限大に近づくときの式(1+1/n)^nの特殊な振る舞いに誰が最初に気がついたか分かっていない。従って後にeと書かれるこの数の正確な誕生の年も不明である。