複利計算と単利計算

 E.オマール著「不思議な数eの物語」より引用。

 年5パーセントの複利が付く口座に100ドル(元本)を預けることにしよう。1年後の残高は100\times1.05=105ドルとなる。銀行はこの新しい額を、同じ利率でたった今預けられた新しい元本と考えるであろう。2年目の終わりには残高105\times1.05=110.25ドルとなり、3年目の終わりには110.25\times1.05=115.76,\cdotsとなる(このように、元本が年利を生むだけでなく元本の利子も年利を生む−だから”複利”という)。この場合の残高は公比1.05の等比数列となって増えることが分かる。これに比べて、単利の場合は年利は始めの元本に適用され、毎年同じである。100ドルを5パーセントの単利で預けると、残高は毎年5ドルずつ増え、等差数列100,105,110,115,\cdotsが得られる。複利で預けた金の方が単利で預けたものより早く増えることは明らかである。
 この例から一般の場合にどうなるかを見るのはやさしい。Pドルの元本を年rパーセントの複利で預けるとする(計算の際rは小数で表す;例えば5パーセントではなく0.05)。残高は最初の年の終わりにP(1+r)となり、2年目の終わりにはP(1+r)^2,\cdots,t年後にはP(1+r)^tとなる。この総額をSと書くと式
S=P(1+r)^t
が得られる。この式は、銀行貯金、借金、ローン、年金、いずれに適用するにしても、財務計算全ての基になるのである。

 等差数列と等比数列の値が大きくなる度合いは、当然の事ながら等比数列の方が大きい。従って、貯金の場合は、得になるし、借金の場合は大変なことになる。多くのローンは複利計算されている。
 この話が実はeにつながっていく。続きは次回とする。