酸窒化物

 葛西栄輝・秋山知宏著「物質・エネルギー再生の科学と工学」(共立出版)からの引用。

 我々の文明は金属や合金が主役で支えられているが、酸素と窒素を含有するセラミックスが最近注目されている。なかでもSi,Al,O,Nから構成されるサイアロンは有名で、Si_{3}N_{4}に基礎をおく不定比化合物(Si_{6 - z }Al_{z}O_{z}N_{8 - z } ;0 < z \leq 4.2)の略称である。1971年発見以来、軽量、低熱膨張、高剛性であり高温強度、耐食性、耐摩耗性、耐熱性、耐熱衝撃性の観点から幅広い領域の研究者を引きつけてきた。これに伴い、急激に研究報告が増え、2001年にはサイアロン国際会議が開催された。さらに最近では低誘電特性、触媒性などからも注目を浴びている。原料に希少金属を含まず構成元素自身が豊富にあり、不定比性、すなわちz値を変化させることにより物理的構造が制御できるため、究極のエコマテリアルと位置付けられている。今後は高精度に成分を制御したその工業的規模の製造方法の確立が期待されている。