無色でない透明:ガラスの色

 細野秀雄・神谷俊夫共著「透明金属が拓く驚異の世界 不可能に挑むナノテクノロジーの錬金術 (サイエンス・アイ新書)」(ソフトバンククリエイティブ)からの要約。

  • ガラスのように透明でバンドギャップが大きい物質に、鉄などの遷移元素のイオンが入ると、その大きなバンドギャップの中に電子がいる軌道といない軌道を作る(どちらか一方ということもある)。
  • そうすると、それらの軌道間で電子が移動したり、あるいは価電子帯の電子が不純物イオンの開いている軌道に移動したりして、光子エネルギーを吸収する。
  • 図15-15では、バンドギャップが3.1eV以上あるので、バンドギャップで決まる色は無色透明。
  • しかし、それよりも低いエネルギーに不純物による吸収が生じ、緑色の光を吸収するので、このような不純物を含む物質の透過色は赤色と青色の混じった赤紫色に見える。